「バイトは塾と風俗」、21歳女子大生の絶望感

「奨学金」は父親の生活費に消えている

高校時代は成績がよかった。第1志望の大学に合格した。父親に薦められるがまま日本学生支援機構の奨学金を借り、東京行きの新幹線に乗った。父親からは東京での生活費は、全部自分で稼げと言われた。少し大変かもしれないけど、なんとかなると思っていた。

すぐに、学習塾の講師募集の面接に行った。簡単なテストを受けて採用された。大学の授業が終わってから頑張って働いても、8万~10万円にしかならなかった。かつては家庭教師や塾講師は大学生の代表的な高賃金アルバイトだったが、学習塾がフランチャイズ化した現在は賃金は安い。授業の準備も含め、1060円という時給は、東京の最低賃金に近い金額である。

キャバクラは1年くらいで限界

「大学1年の4月、5月は塾講師のほかにも、工場で作業する日雇い派遣とか。仕事はかなり頑張ってやったけど、おカネは全然足りなかった。生活できるだけは稼げなかった。月3万~4万円は足りなくなるので携帯代払えないとか、電気代払えないとか。覚悟して実家を出たけど、本当に厳しいと思った。どうにもならなくて、6月にはキャバクラを始めていました。水商売とか世間的にイメージが悪いじゃないですか。まともな仕事で生活したいとは思っていたけど、早々断念しました」

自宅最寄りの駅前にあるキャバクラに即採用された。時給は安く1800円。経験がないので、その時給が高いのか安いのかわからなかった。塾のアルバイトが終わってすぐにキャバクラに出勤し、深夜2時まで男性客の相手をした。塾の8万円にプラスして、キャバクラで10万円程度を稼げるようになって、初めて東京での学生生活が成り立った。

朝から深夜までスケジュールが埋まる。厳しい生活だったが、心配事がなくなり、精神的には余裕ができた。塾で知り合った大学院生の講師仲間に告白され、男女交際もするようになった。

「キャバクラでは売れたというほどではないけど、まあ、やっぱり18歳、19歳だからお客さんには好かれました。近くに住んでいるお客さんと、話が合ったし。プライベートでもよくしてくれる人がいて、プレゼントをくれた。お酒とかバッグとかいろいろもらったけど、使わないからメルカリで売っちゃう。けっこうおカネになって助かりました」

大学は順調に単位を修得して、学生生活も問題なかった。キャバクラは割のいいアルバイトという感覚しかなかったが、1年くらいで限界がきた。

「キャバクラは肉体の疲れはあまりないけど、精神的に削られる。ほかに女の子たちもいるし、お客さんとかも、キャバクラの女の子の中で誰がかわいいとかかわいくないとか。容姿とか人格とかをズバズバ言う人がいる。聞いていると自分のことじゃなくても、ああ、そういうこと言うんだみたいな。しつこく口説いてくるオジサンとか。私は時給だけもらえればいいので、そういう仕事と関係ないことが嫌で精神的な負担になりました」

大学2年の夏、キャバクラをやめた。

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