構造不況の造船 海洋資源に走る

日の丸造船、石油・ガス開発の洋上設備に活路求める

川重はブラジルへ進出現地合弁で掘削船建造

日本の真裏に当たるブラジルの北東、バイーア州マラゴジッペ臨海部で、1000億円を投じて大型造船所の建設工事が進められている。事業主はエスタレーロ エンセアーダド パラグワス社(EEP社)。海洋資源開発向け洋上設備の建造を目的として、地元大手ゼネコン3社が設立した新興造船会社だ。昨年、このEEP社へ川重が30%出資して経営に参画、14年度末の造船所完成後、共同事業として現地でドリルシップなどを建造する。

ブラジルは現在、海洋資源開発において世界で最も“熱い”地域だ。00年代半ばにリオデジャネイロ沖合い250キロメートル、水深6000メートル以上の超深海部で巨大油田が発見され、国家プロジェクトとして大規模な開発が進んでいる。その実行部隊であるペトロブラスは今後5年間で23兆円もの莫大な投資を計画。試掘、開発、生産とプロジェクトが目白押しで、必要となるドリルシップやFPSO、オフショア支援船は膨大な数に上る。

ブラジル政府はこうした洋上設備の産業を自国内で育成する政策をとり、国内企業へ優先的に発注している。実際、EEP社はすでにペトロブラスから6隻ものドリルシップを受注。FPSOに使用する中古タンカーの船体改造工事も複数受注しており、現時点で受注済み工事高は5000億円を超す。ただ、ブラジルはまだ造船産業が未熟で、ドリルシップに必要な肝心の船体建造技術がない。そこで川重の出番だ。

「どういう形で海洋資源分野に出ていくか考えていたときに、技術支援と出資の話を頂いた」と話すのは、川重の船舶海洋カンパニーを率いる村上彰男常務。「ブラジルには巨大な市場があるが、自国産業優先なので、日本で造って輸出するやり方では難しい。現地企業と一緒にEEP社を大きく育てて、配当などの形で果実を得たい」。ドリルシップ建造から始め、FPSOや作業支援船などにも領域を広げる構想を描く。

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