総力分析!「VR・AR」は世界をどう変えるか? 野村総研が予測する「今からの5年間」

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eコマースにおいても、たとえば、米国のGAPは、グーグルおよびスタートアップ企業であるアヴァメトリック(Avametric)と共同で、買い物客が店に足を運ばなくても洋服を試着できるARアプリ「DressingRoom by Gap」を開発した。試着だけでなく、eコマースサイトへの誘導も実現しており、購入までの一連のフローが非常にスマートに設計されている。

また、アマゾン・ドット・コムも2017年11月から、ショッピングアプリにARを活用した「AR view」を追加している。これは、家具、装飾雑貨、電化製品など、数千種類の中から製品を選択すると、その3D画像を顧客のスマートフォンのカメラで撮った自宅の室内に重ねて表示し、大きさや外観をより具体的に把握できるというものである。

さらなる進化の方向性

今後、VRが広い層に普及していくためには、PCとVRヘッドセットをつなぐケーブルをなくすことが1つの鍵となる。

この点はメーカー側も認識しており、フェイスブック(オキュラス)は2018年の早い時期にスマートフォンもPCも不要な一体型VRヘッドセット「Oculus Go」を199ドルでリリースする予定である。

フェイスブックはスタンドアローン型VRヘッドセットとして、Oculus Go のほか、外部センサー不要でポジション・トラッキングやハンドプレゼンス(自分の手そのものがVR空間にあるという感覚)を実現できる「Project Santa Cruz」(コードネーム)と呼ばれる製品も開発中である。サムスン電子の「Galaxy Gear VR」も合わせ、製品ラインアップの拡充が図られている。

現時点でのVRは、人間の五感のうち、主に「視覚」と「聴覚」を刺激することによって、仮想空間における没入感を高めている。特に視覚に関しては、限りなくリアルに近いコンテンツも登場しているが、これだけでは不十分で、次と目されているのが、「触覚」と「嗅覚」である。

触覚は、仮想空間にある物体に触れた感触をユーザーにフィードバックするものである。現在、グローブ型や指輪型、あるいは外骨格デバイス型など、ベンチャー企業中心にさまざまなタイプの開発が進められており、リアルな触覚の再現に向けてしのぎを削っている。

リアルな触覚のフィードバックが可能になれば、ゲームや教育、医療、職業訓練などのさまざまな利用シーンでVRのリアリティがさらに向上する。たとえば、手術においては視覚を利用したVRの活用が始まっているが、現時点では、臓器を触ったときの硬さや手触り感、手術糸を引っ張る感覚がリアルではないことが課題となっており、触覚の果たす役割は大きい。

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