総力分析!「VR・AR」は世界をどう変えるか? 野村総研が予測する「今からの5年間」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方、嗅覚に関する取り組みは、日本発のスタートアップ企業であるVAQSOが開発したデバイスが先進的な事例といえる。VRヘッドセットに装着するデバイスで、VRのコンテンツと連動して複数のにおいを出すことができる。たとえば、山の中なら「森林のにおい」、海なら「潮の香り」を漂わせて、臨場感を高めることができる。ビジネス用途であれば、食品会社が新商品のプロモーションに使用することなどが考えられる。

VR・ARのロードマップ

以下に、野村総合研究所(NRI)が5年程度先までのITの将来動向の予測として毎年継続的に作成し、書籍としても上梓している『ITロードマップ』の最新版(2018年版)から、VR・ARのロードマップを示す。

2018~2019年度:第1世代VRヘッドセットの値下げと一体型ヘッドセットの登場

たとえば、Oculus Riftの場合、2017年11月23日に開催した「ブラックフライデーセール」では、数量限定ながら、4万4880円にまで値下げしている。Oculus Rift のライバルとなるHTC VIVEは、2017年8月に約2万円の値下げを行い、8万4110円となった。大幅な値下げによって、買いやすくなったことは間違いない。

また、こうした第1世代のVRヘッドセットに続く第2世代として、スマートフォンもPCも不要な一体型VRヘッドセットもリリースされる。「ケーブルレス」になり、価格も3万円前後となれば、第2世代のVRヘッドセットがVR普及の起爆剤になる可能性は十分にある。

2020~2021年度:5Gの商用化によってVR・ARサービスが高度化

5Gは下り通信速度1~10Gbpsという高速・大容量で低遅延を実現する次世代移動通信技術である。2017年12月に標準仕様が策定されたことで、今後、商用化に向けた動きが加速していくと予想される。

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった国内の通信事業者は2020年の商用化を目標としており、実現すれば、自動運転やIoT、ドローンなどさまざまな分野で活用が期待される。

VR・ARも5Gの有望なアプリケーションの1つとして期待されている。特に、2020年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、VRを用いた臨場感あふれるスポーツ観戦や、ARによって付加された情報を適宜参照しながらの競技観戦が話題になると予想される。

たとえば、自宅のテレビでスポーツ中継を観戦するときでも、コントローラーを動かして、あらゆる角度から選手の動きが観られるようになっている可能性は十分にある。

また、ARは、工場や警備などの用途でも利用されるようになる。デバイスの完成度の向上とネットワーク環境の整備によって、産業・業務用途でのAR利用が拡大していく。

次ページ2022年度以降は?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事