JR各社をまたぐ運賃「通算制度」はここが変だ

乗り継ぎか「自社内」かで1000円以上の矛盾も

JR旅客会社どうしの運賃、料金の清算は1987年4月1日の国鉄の分割民営化の際に取り決められた「運賃・料金収入の区分及び清算に関する協定」に基づいて執り行われる。この協定により、原則として運賃は営業キロまたは運賃計算キロを、料金は営業キロをそれぞれ用いて、JR旅客会社別の乗車距離の比で分配する決まりだ。

ここでいう営業キロとは旅客が乗車する区間に対する駅間の距離と考えてよい。東海道、山陽、上越の各新幹線、東北新幹線東京―盛岡間、九州新幹線博多―新八代間は実際の線路の長さではなく並行する在来線の距離を使用する。なお、山陽新幹線の場合、国土交通省に届け出た新大阪―博多間のキロ程は644.0kmながら、国鉄時代からの慣例に従って営業キロは岩国―櫛ケ浜間でより距離の短い岩徳線経由を採用した622.3kmだ。

運賃計算キロとは幹線と地方交通線とを連続して乗車する場合に、地方交通線の営業キロを一定の比率で換算した距離を指す。岩徳線が地方交通線であるため、いま挙げた山陽新幹線新大阪―博多間の運賃計算キロは営業キロとは異なり、626.7kmである。

例外として、先ほど挙げた山陽、九州の両新幹線どうし、それから東北、北海道の両新幹線どうし、上越妙高駅をはさむ北陸新幹線を乗り継いだときの各種料金は、JR旅客会社が作成した配分額比によって分けられるという。具体的な比率は非公表ながら、協定に基づいて分配すると、九州、北海道の各新幹線分、北陸新幹線のうちJR西日本の分の料金収入が少なくなってしまうからだと思われる。

JRも本音は併算制がいい?

ところでJR旅客会社も本音では通算制でなく、併算制に変えたいらしい。なぜなら、国鉄の分割民営化後に開始された直通運転では併算制が採用されるケースが目立つからだ。たとえば、山陽新幹線と九州新幹線とを、あるいは東北新幹線と北海道新幹線とをそれぞれ乗り継ぐ場合、多少割り引かれてはいるものの、特急料金や特別車両料金といった各種料金は併算制である。

一方、北陸新幹線は通算制となっている。高崎―上越妙高間はJR東日本、上越妙高―金沢間はJR西日本がそれぞれ営業主体である北陸新幹線の場合、開業に当たって当初は上越妙高駅を境に各種料金は併算制とする予定であったという。しかし、「北陸新幹線は新幹線として一つ」という国土交通省の指導に基づき、通算制に変更されていまに至る。

旅客が複数の鉄道事業者を乗り継いだ際、運賃や料金が通算制であると旅客運輸収入を分配する作業が煩雑になってしまう。旅客運輸収入が減るうえ、清算に手間や費用を要するという点も、多くの鉄道事業者が通算制を導入しない理由の一つだ。

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