JR各社をまたぐ運賃「通算制度」はここが変だ 乗り継ぎか「自社内」かで1000円以上の矛盾も

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それでは、旅客の乗車区間に対するJR旅客会社各社の営業キロの比による運賃や料金の分配例を示そう。大人1人がJR東日本の新宿駅からJR四国の松山駅まで乗車したケースを想定し、新宿→東京はJR東日本中央線、東京→岡山は東海道、山陽新幹線の「のぞみ」、岡山→松山はJR西日本、JR四国の本四備讃線、JR四国予讃線の特急「しおかぜ」のそれぞれ普通車指定席を通常期に利用したと仮定する。

重要な情報として、乗車券、「のぞみ」の指定席特急券、「しおかぜ」指定席特急券は新宿駅で同時に購入し、「のぞみ」と「しおかぜ」とを同じ日に乗り継いだ例である点を付け加えておきたい。

なお、以下に紹介する分配例は協定の原則に基づき、一部は筆者の推測を交えて算出した。JR旅客会社間での例外的な取り決めが存在する場合は異なった結果となることをご了承いただきたい。

最短距離ではなく乗車区間で算出

運賃

新宿駅から松山駅までの旅客の乗車区間の営業キロは957.6km。内訳はJR東日本が新宿→東京(中央線経由)の10.3km、JR東海が東京→新大阪(東海道新幹線経由)の556.2km、JR西日本が新大阪→児島(山陽新幹線、宇野線、本四備讃線経由)の208.1km、JR四国が児島→松山(本四備讃線、予讃線経由)の186.6kmだ。

JR旅客会社への分配率はJR東日本が1.1%、JR東海が57.7%、JR西日本が21.7%、JR四国が19.5%となる。

新宿駅から松山駅までの運賃は1万2250円である。このうち260円は、JR四国の区間における加算額だ。JR本州3社とJR四国をまたぐ際は、JR四国内で乗車する営業キロに応じた加算額が加わり、186.6kmの場合は260円となる。この260円までJR旅客会社各社の営業キロの比で分配しては加算額の意義が失われてしまうため、当然ながら260円は全額JR四国の収入となる。

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