JR各社をまたぐ運賃「通算制度」はここが変だ

乗り継ぎか「自社内」かで1000円以上の矛盾も

残る1万1990円を先に挙げた分配率(JR東日本1.1%、JR東海57.7%、JR西日本21.7%、JR四国19.5%)に基づいて各社に振り分けてみよう。協定では1円未満の端数は切り捨てるとのことなので、JR東日本が130円、JR東海が6918円、JR西日本が2601円、JR四国が2338円となる。これを加えると1万1988円となって2円の行き場がなくなってしまうが、端数は発駅が所属するJR旅客会社に分配されると取り決められているので、この2円はJR東日本に分配され、同社の収入は133円となる。

さて、発行された乗車券には「新宿→松山」ではなく、「東京都区内→松山」と印字されているはずだ。東京都区内の範囲はJR東日本の旅客営業規則を参照していただくとして、要は利用者の多い大都市では運賃を計算する手間を省くため、実際の発駅が新宿駅であっても東京都区内の中心駅である東京駅を基準とした営業キロ、または運賃計算キロに基づいて計算された金額が採用される。

もし併算なら3980円高くなる

となると、仮に乗車券だけを発売した場合、旅客が実際に東京都区内のどの駅から乗車したかがわからず、旅客運輸収入の清算は不可能となってしまう。

JR旅客会社、そしてJR旅客会社の旅客運輸収入清算を請け負う鉄道情報システム(JRシステム)は、このような場合の計算方法を明らかにしていない。各社の社史、資料から推測すると、自動改札機などに記録されたデータに基づいて実際の乗車駅を特定した後、清算するという原則を立てているようだ。

とはいえ、旅客一人ひとりの乗車経路を求めていては清算の手間は膨大なものとなってしまう。そこで、過去のデータを用いて、東京都区内の各駅で東海道新幹線経由の乗車券を購入した旅客による東京都区内の乗車キロの平均値を求め、清算に活用しているそうだ。平均値は非公表であるうえ、頻繁に変更されているそうなので、ここでは実際の乗車経路で旅客運輸収入を分配したい。

以上から、新宿駅から松山駅までの1万2250円の運賃の分配額をまとめると、JR東日本が133円、JR東海が6918円、JR西日本が2601円、JR四国が2338円に加算運賃の260円を加えた2598円となる。

仮にJR旅客会社を乗り継いだ運賃が併算制であったとすると、運賃はJR東日本分が200円、JR東海分が8750円、JR西日本分が3670円、JR四国が3610円で、合計1万6230円だ。差額の3980円は旅客にとってはありがたく、JR旅客会社にとっては恨めしい限りかもしれない。

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