北朝鮮の対話姿勢、核開発の「隠れみの」か 約束をずっと破ってきた北朝鮮の歴史
[ワシントン 7日 ロイター] - 米国との対話姿勢を示した北朝鮮。だが、米当局者と専門家らは、北朝鮮が米国との対話を引き延ばせば、大気圏への再突入に耐え得る弾頭を含む核兵器備蓄を拡大・改良する時間稼ぎが可能になると指摘する。
韓国側に提案したように、北朝鮮が対話中は核実験やミサイル発射実験を凍結したとしても、外交努力が行われているさなかにも技術的な作業を進めることは可能だと彼らはみている。
核兵器を運搬可能な再突入体を完成させたり、ロケットフレームやエンジンや移動式発射装置の製造を生産し、爆弾の製造に使用されるプルトニウムや高濃縮ウランの生産を加速したりすることなどが考えられる。
「凍結あるいは停止する合意に至らない限り、北朝鮮はこうした活動をすべて継続するとみられる。それは、短期間では実現しないだろう」と、米シンクタンク、科学国際安全保障研究所(ISIS)の創設者で、核不拡散が専門のデービッド・オルブライト氏は話す。
トランプ米大統領は北朝鮮による対話の申し入れは「誠実」のように見えると語ったが、ワシントンでは、北朝鮮の指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長が、米本土に到達可能な核弾頭ミサイルなど兵器開発を進めるための時間稼ぎとして、さらには厳格な国際制裁の緩和を求めるため、対話を利用している可能性を懸念する声が聞かれる。
北朝鮮はわずか数カ月でそのような攻撃が実行可能となると、米情報当局者は指摘する。一方、実験はまだ行われていないものの、同国がそのような基本的な能力をすでに有している可能性があるとする専門家もいる。
1つも合意に至らないよりはまし?
トランプ政権は交渉のテーブルに着くかどうか決める上で、約束を破ってきた北朝鮮の歴史も踏まえ、そうしたリスクをよく検討すべきだと、複数の米当局者が匿名で語った。
対話を支持する米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)米韓研究所のジョエル・ウィット上級研究員は、北朝鮮が兵器開発の完全凍結に同意しなくても、それは障害とはならないと指摘する。
「北朝鮮がミサイル・核プログラムを続けても、核実験とミサイル実験を凍結するなら、幸先の良い第一歩だと言える。1つも合意に至らないよりはましだ」とウィット氏は語った。
北朝鮮が対話を引き延ばそうとしているだけなのが明らかになった場合、トランプ大統領は直ちに外交努力を打ち切る用意があると、米当局者は言う。
ある米政府当局者は、トランプ大統領がいつまで交渉の窓を開けているかは明らかではないが、「北朝鮮がわれわれをたぶらかしているかどうか」は数カ月以内にはっきりするだろうと語った。