eスポーツ大会の高額賞金が「グレー」な理由 立ちはだかる法律の「壁」をクリアできるか
文化的な面から言うと、デジタルゲームは日本では子どもの遊びであり、趣味としても低俗な印象をもたれがちです。またスポーツを運動としてとらえる人が多く、体を使わない、汗をかかないeスポーツはスポーツの範疇に入れられないと考えている人が多くいます。
ちなみにスポーツを英和辞典で調べると、「運動」という意味以外に「競技」や「娯楽」といった訳も書いてあります。文化的な面に関しては徐々に理解を広めていくほかはないと思われるので、少しずつ啓蒙し、実践していくしかないでしょう。
日本の法律の都合上、賞金を受け取れない?
また、日本のeスポーツ大会では高額賞金を出せない、海外の大会の高額賞金を受け取ることもできないという法的な問題もあります。
たとえば昨年開催されたPC版『レインボーシックス シージ』プロリーグではシーズン3から日本を含めたアジア4地域からの参加が可能になりました。しかし、「日本チームが優勝した場合、日本の法律の都合上、賞金を受け取ることができません」というただし書き付きです。日本のeスポーツ大会では高額賞金が出せないというのが、業界標準になってしまっているようです。
海外で開催されている大会の賞金額と比べ、日本での賞金額が低めに設定されていることは、eスポーツが盛り上がりに欠ける要因の1つになりますし、プロゲーマーを職業として選びにくくなります。
日本で開催するeスポーツ大会の賞金を高額に設定することができない理由は、3つの法律にあります。景品表示法、風俗営業法、賭博罪です。
eスポーツ大会で使われるゲームの会社が賞金を出すと、景品表示法に抵触するのではないかとメーカーや主催者は解釈しています。ゲームを買って練習したほうがいい成績を残しやすいという点から、大会自体がゲームの販促につながるとみられており、その場合は10万円もしくはゲーム代金の20倍までの賞金額しか出せなくなっています。
たとえば、『ストリートファイターV アーケードエディション』はメーカー通販サイトでは5389円で販売しているので、ゲーム価格の20倍が10万円を超えてしまいます。したがって、『ストリートファイターV アーケードエディション』で大会を開く場合には、賞金の上限は10万円となるわけです。
2つ目が風俗営業法です。同法ではゲームセンターでゲーム大会を開き、ゲームセンター経営者などが賞金を出すことを法律上禁止しています。また、定期的なイベントとすることも風俗営業法に引っかかってしまう可能性があります。
3つ目が賭博罪です。同法は参加者から参加費を徴収してそれを賞金に充当することを禁止しています。
ただ、これらの法律による規制は、いずれも工夫次第で回避できる可能性があります。
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