社長こそ「命を賭して経営する」覚悟を持て

「社員が命を落とす」のは経営者の恥

近頃は、如才なく、敵をつくらず、社長を辞めた後を考えながら、難事は避け、簡単なことを選び、ほどほどの経営をしているように見える大企業の経営者もいる。あるいは、カッコよさを求め、適当に経営に取り組んで、チャラチャラと名刺にCEOなどと仰々しく書き立て、自分の見栄ばかり、社員のことは二の次、たかだか都心の高層マンションに住むことで満足しているベンチャーの若い社長も結構多い。

自分の命を賭けず、社員に命を賭けさせる。結局、この頃、命がけの経営者がいないところに、不正会計やら、データ改ざんやら、不良品の多発、また、砂粒のような経営者がやたら目につく。

社長になったら、せめてその在任期間は、命を捨て、家族を捨て、ただただひたすら、心許すことなく、会社発展のために尽くすべきではないかと思う。経営を甘く見てはいないか。社長諸君、いかがであろうか。

経営は「理3情7」と心得るべし

これからの時代は、今までの時代とは異なる技術が発展する。いかなる社長も、技術に専念しているわけではないから、最新の技術を持っている若い社員に圧倒される。新技術を持って起業した次の瞬間、新入社員の最新技術知識に脱帽しなければならなくなる。自分の知識を最新と思って、上から目線で若い社員に滔々と指示命令をしようものなら、いっぺんに軽蔑の対象になるだろう。それほど技術の進歩はすさまじい。いわば、会社のなかで、最新の知識に、もっとも乏しいのが社長ということである。

にもかかわらず、30人、100人、1000人、あるいは、1万人、10万人の社員を束ね、率いていかなければならない。自分より多くの最新情報を持っている社員を束ねるに、社長みずから最新技術知識を身につけ、最新技術の知識を得る努力は、それなりにすべきではあると思うが、やはり、限界というものがある。

時間的に、また、30代からの脳の老化による記憶力低下で、あがいてももがいても到底無理。であるとすれば、早々に、社員との最新技術知識競争はあきらめたほうがいい。しかし、それでは、社員がついてこない。社員に軽んぜられるのは必然。とはいえ、社長として、社員をまとめ、経営をしていかなければならない。

では、どうすれば、社員を束ね、経営を力強く推し進めていくことができるのだろうか。その答えは、ただ1つ。「理3情7の原則」を忘れないこと、理論が3割、情感が7割で、経営に取り組むということである。人間は、理性だけで動くことはない。正しいことだから、従うということはない。いくら理にかない、正しいことを言っても、人はついてこない。

1960年代に、植木等というコメディアンが「スーダラ節」を歌って、一世を風靡した。その歌詞にあるように、まさに「わかっちゃいるけど やめられない」というのが「人間」。「正しさを理解させるのは容易。しかし、それを行動に移させるのは難しい」と松下幸之助さんは言っていたが、確かにそうだ。必ずしも、人間は、正しさに、正しいからというだけで、ついてくることはない。ついてくるとすれば、むしろ、例外と言っていい。

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