「シャンプーの使いすぎ」が招く薄毛のリスク 正しくは1円玉ぐらいの量!
シャンプーが残るということは、つまり界面活性剤が残るということ。界面活性剤はたしかに汚れであるタンパク質を落としてくれますが、髪や頭皮の成分であるケラチンタンパクも一緒に溶かしてしまうのです。これが弱い慢性炎症につながってしまうというわけ。では髪や頭皮にダメージを与えないシャンプーの使い方とは、どのようなものなのでしょう?
「正しくは1円玉ぐらいの量だけ出すことです。『えっ、そんなに少なくて大丈夫!?』と思うかもしれませんが、シャンプーとは頭皮を洗うことが目的ですから、お坊さんだろうがロングヘアの方だろうが洗う面積は変わらないので、ボトルで言えば1プッシュ分出しただけで充分なのです。1円玉分ぐらいのシャンプーを取り出したら、泡立てネットでしっかり泡立て、地肌だけ洗ってください。このときも、ゴシゴシこする必要はありません。手で頭皮を揺する程度で汚れはしっかり落ちますから。一方トリートメントは毛先にだけつけて、地肌につかないよう洗い、しっかり流すようにしてください。ちなみに私は毎日髪を洗ってもシャンプーは半年で小さなボトル1本しか減りません。頭皮のトラブルは続いてしまうとストレスを感じますから、避けたいですよね」
シャンプーのつけすぎがシミの原因にも!
またシャンプーのつけすぎは、薄毛だけでなく肌トラブルを引き起こす可能性も高いという。
「素肌ドックで隠れジミを見られる画像を撮ると分かるのですが、アジア人は髪の生え際にメラニンが増えていることが多いです。この部分はあまり紫外線に当たりませんから、原因はおそらくシャンプーがきちんと落ちていないとか、頻繁に毛染めをしているとか、顔に使ったしっとりアイテムが落ち切らないことで生じる微小な慢性炎症後の色素沈着だと思います。日本では汚れの吸着力が高く、洗い上がりもしっとりと使用感がいいシャンプーが好まれますよね。でもしっとり洗い上がるということは界面活性剤が残りやすいということでもあるので何かとリスクも高い、というのが我々皮膚科医の認識なんです」
髪の生え際にシミ取りレーザーを打ったものの、すぐまたできてしまうという方は、「試しにシャンプーを低刺激のものに変えて使用量を減らしてみてほしい」と野本先生は言います。また生え際がかゆいとかニキビがよくできるといった患者さんにも、シャンプーを減らしてもらったところ、トラブルが半減した方は多くいるそう。
「そもそもアジア人は、肌をこすると黒ずみやすい、という肌質を持っています。下着のこすれでも黒ずみやすいですし、虫に刺されたところをいつまでも掻いていたことで1年ぐらい黒ずみが治らなかった、という人も少なくありません。つけるものによるトラブルを起こしたときも、炎症後の色素沈着を起こしやすいのです。ですから何でもつけるものは少ないほうが良いし、触れる時間もできるだけ短くしたほうがいいんです」
せっかく高機能な化粧品を使って肌ケアに気を遣っていたのに、シャンプーが原因で肌がくすんでいた! なんてことにならないようにしたいものです。
(文:山本 奈緒子)
オバジクリニック トウキョウ総院長。美容皮膚科学、抗加齢医学、漢方医学の3本の柱から、最新の美容皮膚科治療をおこなっている。また年間30回以上の医師向け講演を全国でおこなう他、ミスユニバース新潟代表の審査委員長も務めるなど、多方面に活躍中。著書に『美容皮膚科で生きる漢方』(三恵社)がある。
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