もらえる年金を42%増やす「イデコ戦略」

早く始めれば、老後資産で圧倒的な差がつく

イデコは公的年金と違い、すべて自己資金を拠出し、加入者自ら運用、管理していく「自家製年金」です。貯金型から投資信託まで、運用商品は自由に選べます。そのため、将来どれくらいの資産ができるかも、どの商品を選んだかによって変わってきます。つまり、運用結果も自己責任になるのです。

イデコのメリットは以下の3つに集約されます。

① 掛け金が全額所得控除される

② 運用益は非課税になる

③ 受け取り時にも税制が優遇される

特にメリットが大きいのが①の所得控除、つまり「節税効果」です。たとえば、年収500万円(所得税10%、住民税10%)の人が、イデコで毎月2万円を積み立て投資した場合、毎年4万8000円も節税になります。これが60歳まで毎年続くことになるのです(掛け金を変更しなかった場合)。それだけでも、老後の資産形成において現時点で「最強の制度」といえるかもしれません。

毎月の掛け金の上限は、加入者の勤務先での企業年金制度の有無によって変わってきます。また、掛け金の拠出は60歳までしかできません(ただし、70歳まで運用可能)。これらを換算して、あとどれくらいの期間拠出できるかが決まってきます。老後資金が目的なら、公的年金(老齢年金)と一緒に考えることで、具体的な拠出金額の設定などがイメージしやすくなるでしょう。

ポイントは「いつ」「いくら」「何年」で受け取るか

イデコで運用する際のポイントは、受け取るときのことを考えて商品を選択することです。大切なのは、「いつから受け取るか」「(毎月)いくら受け取るか」「何年で受け取るか」といったシミュレーションをしておくことです。

登山なら、頂上に行くルートだけでなく、下山ルートまでしっかりと計画を立てると思います。同じように、老後資金の場合も、出口である受け取りまでしっかり計画をしておけば、いざというときに金銭的に困窮する事態が避けられます。 

老後のための資産形成をしている人はたくさんいますが、受け取りのことまで考えている人は案外少ないものです。もちろん、将来どうなるかはわからないと思いますが、ある程度ご自身で描いているライフプランをもとに受け取りについて考えることが大切なのです。

イデコの場合、60歳までは積み立ててきたものを現金化できませんが、この強制力が、結果的に老後資産を大きく実らせることになるのです。おカネが簡単に引き出せると、つい使ってしまうので、簡単に引き出せるほかの金融商品と比べたら、断然、資産が作りやすい仕組みになっています。この「強制的な資産形成」を習慣化していけば、誰でも老後の資産を着実に積み上げていくことが可能です。

イデコの場合、受け取る際は、一括、年金、両方の併用、いずれも選択できます。たとえば、年金での受け取りを選べば、定期的におカネが入ってくるので安心感につながります。また、必要な分だけを一括で受け取り、残りは毎月取り崩していく方法も可能です。受け取りの方法は、あくまでも自分で決めることになります。毎月一定額だけ取り崩していけば、一気に使ってしまうリスクも少なくなります。2018年からスタートした「つみたてNISA」の場合、売却したら一括で受け取るしかないので、老後資金として考えるとその違いも大きいでしょう。

次ページ受け取り方で、公的年金の受給額が42%増加も
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ほしいのは「つかれない家族」
  • 日本資本主義の父 渋沢栄一とは何者か
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
  • 日本野球の今そこにある危機
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
大乱世の思想ガイド<br>マルクスvs.ケインズ

戦後社会の信念とイデオロギーが崩れ落ちる今、危機を乗り越えるための思想が必要です。脱経済成長を旗印に支持を広げる新マルクス主義とコロナ禍で完全復活したケインズ主義を軸に、大思想家が残した知恵を学び直します。

東洋経済education×ICT