「ゾゾ頼み」から脱却へ、アパレル企業の苦闘

自社EC立ち上げを目指すが、ハードルは高い

だが、どのアパレルも充実した自社サイトを構築できているわけではない。課題の一つが人材確保だ。

サイトの機能を充実させるには、エンジニアのほか、膨大な顧客データを分析できる人材が必要となる。転職支援サービスを行うパーソルキャリアの藤田芳彦氏は「アパレル業界ではサイトの運用スタッフなどネット通販にかかわる求人が増えている」と指摘する。同社の調べでは、17年のネット通販関連の求人は前年比で4割増えたという。

老舗アパレルからは「販売員の確保ですらままならないのに、EC関連の人材は年収も高騰していて採用できない」と悲鳴が上がる。

初期投資の重さもネックに

ベイクルーズには7年前まで社内エンジニアはほとんどいなかったが、他社からの引き抜きや中途採用を続け、現在15人になった。それでも十分というわけではなく、現在もつねに募集しているという。「中途でも入社後はビジネス的視点や技術力の育成が必要。採用にかかる時間的コストは大きい」(加藤執行役員)。

当記事は「週刊東洋経済」3月3日号 <2月26日発売>からの転載記事です

中小アパレルにとってはシステム構築などへの初期投資の重さもネックだ。そのため自社サイトにかかわる業務を丸ごと外注しているケースも目立つ。想定以上の速さで急拡大するネット通販だが、小手先の対応に追われ、結果的にネット通販のノウハウを社内に蓄積できていないのが実情だ。

ある業界関係者は「これからITが武器になると考える人がアパレルには少ない」と自嘲ぎみに話す。モール頼みが続けば、ネットで稼ぐ力を高めていくことは難しくなる。同時に充実した自社サイトを構築するハードルも上がっていく。ジレンマを抱えたアパレルメーカーの苦悩は当面続きそうだ。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • カラダとおカネのよもやま話
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。