「JPN TAXI」新世代タクシーの知られざる実力 日産「NV200タクシー」とは何がどう違うのか

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パワーユニットはNV200が1.6LガソリンあるいはガソリンとLPG併用、JPN TAXIはLPG燃料の1.5Lとモーターを組み合わせたハイブリッドだが、NV200がLPGタンクを荷室左隅にコンパクトに収めたのに対し、JPN TAXIは後席裏中央に置いたこともシート位置に関係しているのだろう。運転席頭上空間に余裕があるので、路線バスのようにルーフに置くこともできたと思う。

JPN TAXIの後ろ姿(筆者撮影)

JPN TAXIはシエンタのプラットフォームを流用している。乗り心地は良好なシエンタのそれを受け継いでおり、しっとりしていてフラット感も高い。おまけに後席の座り心地はシエンタよりはるかに上で、5ナンバーの日本車でもっとも快適に過ごせる1台と言える。

デザインや乗り心地を中心に見れば、欧州的なNV200に対してJPN TAXIは純日本的という印象を受けた。

都市景観を乱さないデザインであることが重要

もうひとつJPN TAXIで褒められるのは色だ。現時点で筆者が目にした車両はすべて、深藍と呼ばれる黒に近い紺色をまとっており、従来のタクシーと同じ派手な色をまとうNV200より好ましい。

タクシーを含めた公共交通は、利用者にとってわかりやすいだけでなく、都市景観を乱さないデザインであることが重要だと考えている。独特の姿でありながら黒塗りのロンドンのタクシーは好例と言える。JPN TAXIが景観に配慮して深藍を選び、タクシー会社がその精神を尊重した点は評価したい。

対するNV200はニューヨークと同じ黄色をイメージカラーとしているが、欧米の都市に行った人ならおわかりのように、タクシー車両はバスと同じように都市ごとに色を統一することが多い。それがタクシーと他の乗用車の識別をしやすくしている。これを機に日本でも、多くの人が都市交通の色について考える機会が増えることを望みたい。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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