「スマートホーム」には危険が潜んでいる 家をIoT機器だらけにすると何が起きるか

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さらに思わぬ伏兵だったのが、Wi-Fiルーターへの接続だという。今までのようにルーターに接続している機器が2~3個であればそれほど問題はない。しかし、50個ものIoT製品をルーターに接続し、調整するのは、気が遠くなる作業だったという。

仮にルーターを買い替えなければならなくなったとすれば、自分で各機器すべての設定をやり直す必要がでてくる。そうなると「とてもではないが、高齢者の手には負えない」(飯島主幹研究員)。

「これまでは住まいをデザインするとき、Wi-Fi電波がどこまで届くかなど想定に入っていない。ましてや設計時にハブは目立つ場所には設置しない」(ミサワホーム広報)。IoT製品が家庭に入ることを前提に考えると、家の内装デザインは様変わりする可能性もある。

ただ、本当の問題は目に見えるところだけではない。

火災が起きたら、IoT機器はどう動く?

製品安全などを検証する、独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)によれば、2012~2016年度までの5年間で電気ストーブによる火災などの事故は434件あったという。これは石油やガスストーブを含む、ストーブ事故全体の約半数を占めており、それだけ一般的な事故だといえる。

石油やガスを使うストーブと違い、電気ストーブは炎がないだけに、可燃性のものを近くに置いてしまうことが主因とされている。NITEの実験では、タオルが電気ストーブに触れてから7分弱で発火することが確認された。これがカーテンなど地の薄い生地だと、さらに発火は早まる。

これがIoTでどうなるのか。仮定の話だが、就寝前にうっかりカーテンのすぐそばに電気ストーブを移動してしまった。冬の日は寒い中起きるのがつらいので、電気ストーブも時間設定で起床前に点火するようになっていた。こうして朝を迎え、カーテンが開くと同時に電気ストーブも点火。数分の後に火災が発生、ということは十分に起こりうる。

これはIoT機器ではなくても起こりうるかもしれないが、実際の事例はもう少し複雑になりそうだ。

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