「脳の記憶補助装置」が人の生き方を変える

ナレッジスイート社長ロングインタビュー

稲葉:ただある時、軽い気持ちで担当した小さいコンペで負けたことがあって、周りからの評価が一気に下がったことがあったんです。その仕事は結局獲得することができたんですが、人の評価というのはこんなにも目まぐるしく変わるものなんだと考えるきっかけになりました。

稲葉雄一(いなば ゆういち)/ナレッジスイート株式会社 代表取締役社長。1968年生まれ。電通グループ企業で、企業の統合プロモーションプランニングを担当。リアルとバーチャルを融合したクロスプロモーションをいち早くクライアント業務に取り入れ、インターネットを活用したCRM領域において多くの実績を残し、電通社内の統合プロモーション分野でプランニングMVPを2年連続受賞する。2006年、ナレッジスイート(旧ブランドダイアログ)を設立し代表取締役に就任(写真
:Signifiant)

電通グループを辞めて起業することを決意したきっかけの1つは、2年連続でプランニングMVPという賞を獲ったことです。自分にとって、電通でのキャリアのピークだと感じたんです。そのタイミングで独立し、僕とアシスタントという少人数の体制で電通からのコンサルティング業務を請け負い、売り上げを上げることができました。

起業のもう1つの理由は、テレビの地上デジタル放送への移行です。当時、統合キャンペーンをやっていて気づいたのは、テレビCMを打つととんでもないトラフィックがインターネットサイトに来るということです。インターネットサービスというのはピーク時に合わせて設計するので、ピーク時のとんでもないトラフィックに耐えられるように余裕を見て設計するわけです。でもすぐにまたアクセス数は落ちるわけだから、ピーク時以外はその余剰分は無駄になりますよね。だからそのムダを省くために可変的な動きによってサーバーサイドも変化する仮想サーバーというのができないかと考えたんです。

来る地上デジタル放送への移行によって、サーバーサイドの負荷の課題はさらに大きくなるだろう、では、いざ仮想サーバーを実現しようとしたときに、そのインフラのおカネはどこが出すんだろう、といった課題について考えるようになりました。この課題に取り組んでみたいという興味の高まりと、自分の会社員としての評価のピークが重なって、その時が辞めるタイミングだと思ったんです。 実際、会社を興してしばらくは電通の仕事をしながら、仮想インフラを実現できる技術やサービスがないか、多くのエンジニアに話を聞いて回りました。でも、なかなか簡単には見つかりませんでしたね。

トップ営業マンの知見を新人が活かせるCRM

村上:そこから今のビジネスに着手をしたのはいつごろだったんですか?

稲葉:CRM (顧客関係管理)とSFA(営業支援システム)については、実は電通時代にすでに手がけていました。某自動車会社のインターネットを活用したCRMを通じて営業活動を効率化する仕組みを作り、インターネット上でのキャンペーンで見込み顧客と接触するきっかけづくりをしたんです。

ナレッジスイート「成長可能性に関する説明資料」より
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