「脳の記憶補助装置」が人の生き方を変える ナレッジスイート社長ロングインタビュー

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村上:それからはある程度、既存ユーザーの口コミで広がっているんですか?

稲葉:今でもなぜか問い合わせが来るんです。 ただ、最初、ユーザー数無制限で2000円から導入できるという、破壊的な低価格でスタートしたのは大きかったと思います。その当時、「フリーミアム」という言葉があって、僕らは「BtoB版のフリーミアムサービスだ」とも言われたんです。無料サービスから広げていって、そこからアップセルさせていくという手法を取ったので、参入時、同業社に「お前たちは価格破壊を起こしている」と言われました。

ですが、僕らはグループウエアそのもので儲けるつもりはありませんでした。低価格で始めたのは先行投資だったんです。その後、中小企業向け顧客管理CRM/営業支援SFAサービスの「ナレッジスイート」と「GEOCRM」に進化させていく、きっかけづくりだったんですよ。だから最初のハードルは低くして、まずは顧客を獲得することを先行させたんです。

村上:B2C系の企業が得意な「面をとる戦略」ですね。広告宣伝を含めて初期に積極的に投資できたことが大きな成長につながったわけですね。

稲葉:それに、僕らは導入企業の成長とともにおカネをもらうという考え方でサービスを提供しているんです。 マネタイズの仕方として、1ユーザーあたりに課金をする方法がありますよね。でも、僕らはデータビジネスをしていて、利用データ量が増えれば金額が上がっていくという形式でおカネをいただいています。貸金庫みたいな考え方ですね。ソフトウエアはあくまでデータを出し入れするインターフェースなので無料で提供しますが、金庫の大きさによって金額が変わってきますよ、ということです。

ナレッジスイート「成長可能性に関する説明資料」より

稲葉:データ量が増えるとはどういうことか。あるユーザー企業のなかでデータが溜まっていくと、僕らのサービスを使ってもらうことで、経営効率がより高まっていくんです。そうすれば、収益性が高まって利益が増える。同時に、うちに支払っていただく金額も増える。

こういった仕掛けになっているので、僕らのビジネスの成功は導入企業の成長とともにある、と言えるわけです。

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