実は人生初?スキーにハマる中国人の実情 日本のスキー産業復活の起爆剤になるか

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日本ではバブル期のピーク、1980年代後半に公開された映画『私をスキーに連れてって』や松任谷由実のヒット曲もあって、爆発的なスキーブームが始まった。前後して関越自動車道や東北新幹線の開通もあり、大学生や社会人がスキー場に押し寄せた。バブル世代の中には、スキーは青春時代の思い出そのもの、という人も多いだろう。

しかし、1998年、長野冬季オリンピック直後からスキー小売業の倒産、撤退が相次いでいき、日本のスキーブームは下火となっていったが、中国では日本から約30年遅れてスキーブームが到来した。

ブームの兆しを見込んで

中国ではオリンピックが契機というところが日本と異なるが、経済成長によって社会が成熟し、リゾート開発や道路建設が急ピッチで進み、おしゃれな雰囲気のあるスポーツに興味を持つ人が増えてきた、という点では、共通するところが多い。

『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか ―中国インバウンド54のヒント』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

こうした隣国に芽生えたブームの兆しを見込んでなのか、今年、国内では14年ぶりとなる新設のスキー場が兵庫県にオープンしたり、新潟県でも閉鎖していた施設が11年ぶりに再開業するというニュースが流れた。

兵庫県の「峰山高原リゾート ホワイトピーク」を管轄する兵庫県神河町・地域振興課の担当者によると「大阪のなんばから直行バスで2時間とアクセスがいい。マップに中国語表記を加え、英語のインストラクターもそろえるなど、インバウンド誘致には力を入れている」と期待を込める。

前述した王芳氏によると「中国の大都市に住む子どもにとって、木登りやハイキングすら貴重な体験」であり、日本では当たり前の遊びも、中国ではまだ難しい面がある。日本はスキー場施設の老朽化などの問題があるが、「同じスキー場の景色でも、日本で見る雪景色や山脈は新鮮で、中国人から見たら感動するポイントがたくさんある」という。デザインが豊富な日本のスキーウエアも中国人に人気の的だそうだ。もしかしたら、こんなところにも着目したら、もっと中国人スキー客を取り込める可能性があるのかもしれない。

中島 恵 ジャーナリスト

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なかじま けい / Kei Nakajima

山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経て、フリ―に。著書に『なぜ中国人は財布を持たないのか』『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(すべて日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『「爆買い後」、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)などがある。

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