今回の株価崩落は大規模ショックの前兆か? 米国株が再度下落したら日本株を買うべきか

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2月4日に就任したパウエル新FRB議長はハンフリー・ホーキンス法(政府がFRBに半期に1度、議会へ報告書提出と説明を義務付けた法律。1978年制定)に基づき、2月28日に議会証言を行う予定だ(2000年に法律は失効したが慣例として継続)。だが、その前の会見等の予定はない。この日を待たなければならないのか。つなぎ予算案も一時失効するなど米国の議会運営も綱渡りで、NY株は落ち着けないようだ。

今回の金利急騰によって、約30年続いていた10年債金利の下降トレンドがブレイクされ、上昇トレンドへと変わった可能性がある。

ただ、現在のところ利回りは2.75%―2.85%程度でモミあっている。では「株の買われ過ぎの象徴」と言われた、「2年債の利回りとS&P500銘柄の予想配当利回り」の関係はどうか。

一時は株価が上がったことで2年債の利回りが株の配当利回りを約10年ぶりに逆転した(高リスクの株の配当利回りは、2年債よりも高いのが普通。実際2016年FRB利上げ開始以前は、約2%のかい離があった)。だが、株価が下落したこともあり、「株の予想配当利回り2.21%、2年債利回り2.11%(2月9日)」と、再び「正の関係」に戻った。今後も注視が必要だ。

日本株には「何も怖いものはない」

一方、日本では、黒田東彦・日銀総裁の続投が確実になったようだ。これで日本株にかんしては「パウエル・ショック」的な心配はなくなった。

先週末の「NYダウ2度目の1000ドル安」に対して、日経平均株価が6日(火)の日中につけた安値2万1078円を切らなかったのは、長短合わせて2兆円を超える国債買いオペを午前中に通知したことが大きい。筆者には「市場を見捨てないよ」という黒田総裁のシグナルに見えた。イエレン前議長もこんなイメージだった。

企業業績も絶好調だ。岡三証券の調査によると、TOPIX(東証株価指数)採用企業の2017年10-12月期(9-11月期含む)の売上高は前年同期比+5.4%、営業利益は同+19.3%、当期利益に至っては同+35.7%となっている(2月8日時点)。その結果、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)は株価急落の中で急激に伸び1634円76銭と過去最高になった。予想PER(株価収益率)も週末13.08倍。これは、2016年6月英国のEU離脱決定で急落した時点のPERとほぼ同水準だ。

今後、NY株の波乱で下げたところは、個別株次第になるものの、それこそ「馬鹿になって買うところ」だと思っている。たとえ本格的な「VIXショック」が起きたとしても、だ。

NY株は9年も上昇して、人間にたとえれば「90歳」だが、日本はまだ「50歳」(5年の上昇)だ。もっとも、筆者などが言うまでもなく、ずっと売り越してきた個人投資家は、下げたところはしっかり買っているようだ。急落した6日の現場を取材すると、某中堅証券では新規入金量が1日の入金量としては過去最高に。また別の証券会社では、午前中だけで「大入り基準」を超えたという威勢の良い話が聞こえる。最近の個人投資家は強かだ。

今週の日経平均予想レンジは2万0500円―2万2500円。2000円も幅があっては予想にならないが、それでも外れるかもしれない。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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