2月の株価下落で市場が動揺したが、中国の市場は大きな問題とはなっていないようだ。しかし、今年に入って中国の内モンゴル自治区、天津市が域内GDP(域内総生産)の「水増し」を認めるという出来事があった。
中国のGDP(国内総生産)統計に対する疑念は今に始まったことではないが、ほかの地域や国全体の統計にも少なからず不正がありそうだ。この疑念が強くなったのは上海株の暴落などによって景気が悪化していた2015年あたりからである。
世界経済にとって思わぬリスクとなる可能性
今回注目したいのは、過去に水増しが行われていたことそれ自体ではなく、2015~2016年の水増しの影響が今も残っている可能性が高いという点である。この影響が、2018年の世界経済にとって思わぬリスクとなる可能性がある。
過去の水増しが残るというのは、たとえば2016年に1%ポイントだけ成長率が水増しされていたとすれば、成長率を計算する際の「発射台」がカサ上げされるため、2017年の成長率が低くなってしまうというテクニカルなものだ。
本当の2017年の成長率は公式統計が示す以上に高かったのではないか。さらに、このような過去の水増しによるテクニカルな影響だけでなく、「水増し分のつじつま合わせ」のために、各地域が2017年にあえて低い成長率を設定したとすれば、本当はさらに成長率が高かった可能性がある。
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