株価が景気実感から離れて上昇している理由 マクロ分析で株価・成長率・景気実感を考える

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年初から好調なスタートを切った株式市場。どこまで上がるのか(写真:AP/アフロ)

2018年の株式市場は日米共にこの上ないスタートを切った。1月5日の東京株式市場では日経平均株価が続伸し、2万3714円53銭と1992年1月6日以来、約26年ぶりの高値を更新した。「新年2日目の相場は下げる」というジンクスをはね返し、2010年以来、8年ぶりの連勝スタートである。市場参加者の間では3万円予想も珍しくなくなっており、初っぱなから過熱感が隠せない雰囲気である。

昨年来、金融市場では株も債券も商品も(仮想通貨も)堅調を維持し、普段は波乱を起こす為替市場は極めて静かという誰にとっても快適な相場、いわゆるゴルディロックス相場が続いている。しかし、その中でも株の動きは抜きん出ていることから、現状の安定が崩れるとしたら、「それはやはり株からだろう」という懸念を持つ向きも少なくないと見られる。

そもそも、中央銀行が連続的に金融引き締めを行うかたわらで株価が続伸する構図は本質的に無理筋である。世界の資本コストを規定する米国の政策金利(FF金利)が上がり続ければ、米国ひいては世界経済における消費・投資意欲は必ず損なわれるタイミングがやってくる。FRB(米国連邦準備制度理事会)はすでに5回の利上げを行っており、問題はそれがいつになるのかという次元にある。

バフェット指標で見ると過熱感が出ている

現状の株価は過熱しているといえるのだろうか。株価のバリュエーションに関してはいろいろなアプローチがあるし、筆者は株式市場ではなくマクロ経済を見る立場にあるため、本欄では一歩引いた観点から現状を評価してみたい。

マクロ経済と株価の関係を論じる際、たとえば非常に単純な尺度として株式時価総額と名目GDP(国内総生産)の比率が注目されることがある。同比率は米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が重視する投資尺度のため、「バフェット指標」と呼ばれることもある。歴史的には100%を超えると過熱感が指摘されることが多い。株式時価総額というストックの計数とGDPというフローの計数を比較することに議論の余地は残るものの、それなりに示唆に富んできた指標でもあるので、筆者は定期的に見るようにしている。

世界銀行は同比率の推移を公表しており、2017年に関しては世界取引所連盟(WFE:World Federation of Exchanges)が公表する今年11月末時点の時価総額とIMFの2017年秋季世界経済見通しの数字を用いて試算している。

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