アイリスオーヤマ、同族経営にこだわる理由 53年ぶりの社長交代で息子抜擢の真意とは

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アイリスオーヤマの大山社長は、「ユーザーイン」(生活者目線)を経営哲学に掲げる。利益を出すためには、ユーザーニーズに合った新商品を作り続けることが必要という考え方だ(撮影:梅谷秀司)

──現在は非上場ですが、今後、株式公開する可能性はありますか。

その必要はない。息子も上場はしないと言っている。

われわれは無借金で投資も自己資金で賄っている。知名度向上のために上場すると聞くこともあるが、当社は非上場ながら、地盤とする東北地方ではいちばんネームバリューがある(笑)。

上場すればインサイダーの問題も出てくる。社員に対しても口が開けない状況になってしまえば、情報共有ができなくなる。

ECの広がりは追い風だ

──53年間社長を務めてきた中で、重要視してきた経営指標は何ですか。

2つある。1つ目は売上高に占める新商品比率で50%以上を保つこと。当社では新商品を発売後3年以内の商品と定義している。ヒット商品にあぐらをかいていてはいけない。つねに変化に対応することが大事だ。

2つ目は経常利益率で10%を維持すること(2017年度は9.6%)。これはたくさん儲けたいという意味ではなく、工場などへの設備投資に回すためだ。10%を大幅に下回れば、迷わず商品を値上げする。

──2022年度にアイリスグループで売上高1兆円という目標を掲げました(2017年度は4200億円)。

商品面では数量が伸びている家電に力を入れていく。進出先の米国や中国などでも、どんどん需要を掘り起こしていきたい。

特に海外はEC(ネット通販)が中心になる。問屋やバイヤーという壁もなくなり、商品本位で勝負できる。当社には2万点の独自アイテムがあり、ECの広がりは追い風だ。1兆円は十分達成できる。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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