アイリスオーヤマ、同族経営にこだわる理由 53年ぶりの社長交代で息子抜擢の真意とは

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大山健太郎(おおやま けんたろう)/1945年、大阪府生まれ。19歳で父親が急逝し、1964年にプラスチック加工の大山ブロー工業所を継ぐ。以後53年間にわたり社長を務めてきた(撮影:梅谷秀司)
園芸商品やLED照明など幅広い種類の商品を製造・販売するアイリスオーヤマ。年間1000品目もの新商品を世に出す。創業家の大山健太郎社長(72)が今年7月に会長に退き、後任には長男の晃弘取締役(39)が就く。社長交代は53年ぶり。なぜこのタイミングなのか。大山社長に聞いた。

創業の理念が継承されることが大事

──自身の著書には75歳で社長を退く方針を記していましたが、予定より2〜3年早い退任となります。

アイリスオーヤマの埼玉工場。衣装ケースの引き出しを本体にセットする作業も機械が行う。工場の省人化・機械化を進めている(撮影:風間仁一郎)

成長に向けた道筋が見えてきたことが大きい。国内は製造・販売の仕組みが確立し、組織もしっかりしてきた。海外も米国や中国を中心に積極投資を続けている。当社は今年創業60周年で、新社長は4月に40歳になる。切りがよく、いいタイミングだと判断した。

社内からは寂しいという声も聞かれたが、引退するわけではない。私自身は会長として、長期的視点に立った戦略の策定や、新事業の創出に専念していく。

──今回、後任に息子を据えた理由は何でしょうか。

彼は当社に入社して15年、海外の責任者としてやってきた。今後、海外での売り上げを伸ばすことを踏まえると、適任だと考えた。

ただ、正直に言うと20年前から息子を社長にしようと思っていた。サラリーマンの中から選ばれてきた人は、周りに配慮しすぎて判断に時間を要する。オーナーは株主でもあるので、判断を下すスピードも速い。

同族経営がネガティブに見られるのは情報をクローズドにするから。当社は社員に対して情報をオープンにしており、密室はいっさいない。大事なのは創業の理念が引き継がれること。そのためには同族経営のほうがいい。

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