資生堂、売上高1兆円を初めて突破できた理由 魚谷社長「3年前倒しでの達成はうれしい」

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魚谷雅彦社長は会見中、たびたび笑顔を見せた(撮影:尾形文繁)

魚谷社長は「シワ改善クリームはブームの様になっている。これが一過性にならないようにしていきたい。(専門店ブランドの)ベネフィークからも2月21日にシワ改善化粧品を発売する。コアにいろいろな形で展開し、市場を作っていきたい」と意気込む。

国内事業は絶好調の資生堂だが、悩みの種がある。米国事業だ。苦戦が目立つのが2010年に買収したベアエッセンシャル社で、2017年12月期は707億円に上るのれん減損を計上し、純利益は227億円(前期比29.1%減)と減益になった。

国内では最大950億円を投資

同社は強みであったテレビ通販(QVC)への投資を圧縮したことや、自然派を売りとする競合が複数登場したのが痛手となって、売上高が低迷。みずほ証券の佐藤和佳子シニアアナリストは資生堂のベア社買収について、「中期経営計画の最終年度に買収し、短期的な目標達成のための買収であった印象がある」と指摘する。2018年12月期は直営店閉店による固定費圧縮や、デジタル分野の強化で挽回を狙う。

米国事業の懸念事項は残るものの、資生堂は好調な国内事業を引き続き強化していく方針だ。栃木県で中価格帯スキンケア製品を扱う工場を2019年中に稼働させるほか、翌2020年までには大阪工場を大阪市から茨木市に移転し、生産能力を増強する。総投資額は最大で約950億円に達する見通しだ。

今回の決算発表時に合わせて、新年度にあたる2018年12月期の通期業績見通しについて会社側は発表を見送った。3月5日に3カ年の中期経営計画の公表を控えており、それと同時に新年度の通期業績予想を発表するという。現在の国内事業の勢いが続けば、2008年3月期に達成した過去最高の純利益354億円を超えるのは、ほぼ間違いないだろう。

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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