1月31日、米トランプ大統領による一般教書演説が行われた。注目ポイントは、主に以下の5点だ。
(1)景気拡大、雇用拡大、税制改革法案の成立など、これまでの成果を強調した、(2)所得格差の拡大や、エスタブリッシュメントと反エスタブリッシュメントなど、米国社会の「分断」が指摘されるなかで、大統領として「米国を一つのチーム、一つの国民、一つの米国の家族として団結させる」との強い意志を表明した、(3)最低1兆5000億ドル相当のインフラ投資を実現させるため、与野党の協力を要請した、(4)北朝鮮への最大限の圧力を継続するとの姿勢を明確にした、(5)中国による知的財産の侵害をめぐる問題を取り上げたうえで、公正な貿易を実現する考えを強調した。
全体としては、今回の演説に大きなサプライズはなかったものの、随所に今年11月6日に実施される米中間選挙をにらんで、支持率を押し上げたいとの狙いがうかがえる内容だった。中間選挙では上院議員(100議席)のうちの3分の1、下院議員(435議席)全員が改選となる。中間選挙は現政権の運営について国民の不満や批判が集まりやすく、与党が議席を減らすことが多い。
共和党にはショックだったアラバマの敗北
特に、昨年12月12日、米アラバマ州で実施された上院補欠選挙で共和党のロイ・ムーア氏が僅差とはいえ(得票率は49.9%対48.4%)25年ぶりに、民主党のダグ・ジョーンズ候補に敗北したことは、共和党員にとって「大ショック」といってよいほどのサプライズであり、結果2018年の中間選挙に対する注目度を高めた。
アラバマ州は約480万人の住民の約7割が白人で、最も保守的な州の1つとして知られる。過去の上院選においては1994年以降、常に共和党員が勝利してきた。ちなみにアラバマ州の2名の上院議員のうち、リチャード・シェルビー氏は1992年に上院選挙で勝利した際には民主党から出たにも関わらず、1994年に共和党に鞍替えしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら