野党の「茂木大臣・線香疑惑」追及が甘いワケ 何を追及してもブーメランが突き刺さる
記憶に新しいのが、立憲民主党の山尾志桜里衆議院議員の事案である。
同氏は2013年11月から2014年5月まで、選挙区内の有権者6名に対して政治資金管理団体「桜友会」から4万4875円の供花代と香典を出していたのだが、これが違法と判明した後に「民主党愛知県第7区総支部」からの支出に付け替えている。
なお山尾氏は「総支部からの支出が合法であることは党の統一見解だ」と主張したが、岡田克也代表(当時)は、「党の顧問弁護士の見解であって、党の統一見解ではない」とこれに修正を加えている。つまり、党として「総支部からの支出は合法」とオーソライズすることに躊躇があったわけだ。
立憲民主党にとっては「ブーメラン」
こうした過去の経緯が原因なのだろうか。立憲民主党は茂木氏への追及にいまいち切れがない。
同党の枝野幸男代表は1月31日の会見で、茂木氏の行為について弁護士としてどう思うかとの記者からの質問に対し「手のうちは明かせない」とかたくなに回答を拒んだ。茂木氏を批判すれば、そのまま山尾氏に当てはまり、ブーメランとして返ってくることをおそれているのかもしれない。
『デイリー新潮』は2月6日号の続報で、茂木事務所が作成した線香配布先リストを公開した。政党支部ではなく「政治家・茂木敏充」が線香を配布し、公職選挙法第199条の2に違反する証拠を示したことになる。『週刊新潮』は2017年8月、茂木氏が衆議院手帳を配布したことを報じたが、この時に資金管理団体が購入した後、無償で政党支部に寄付した形式をとり“合法化”したとも報じている。これはまさに山尾氏と同じ手口だ。
「公職選挙法にのっとり、適法に処理した」。2月5日の衆議院予算委員会で、茂木氏は自信ありげにこう述べている。調査権のない総務省が厳しい判断を下すことはないことを確信し、野党の体たらくが次々と発覚することをも見通していたのだろう。
政治資金問題についてのジレンマを打破するには、まずは野党が思い切った自己改革を行い、身ぎれいにすることが必要だ。それなくては、与党を批判してもブーメランで戻ってくるような事態が繰り返されるだろう。多くの有権者は、もう「政治とカネの問題」にうんざりしている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら