野党の「茂木大臣・線香疑惑」追及が甘いワケ

何を追及してもブーメランが突き刺さる

問題は選挙区内における有権者への、正当な対価の支払いとはいえないような金品の供与である。公職選挙法は第199条で特定の利益を享受する者からの寄付を禁止し、第199条の2で議員および候補者等による寄付を禁止している。そして、第199条の3では議員や候補の関連会社や団体が「氏名を表示し、または氏名を類推されるような方法で」寄付することを禁じている。

第199条の2の「議員および候補者等による寄付」は比較的わかりやすいが、第199条の3の「氏名を表示し、または氏名を類推されるような方法」とは何なのか。これについて2月2日に開かれた野党6党によるヒアリングで、総務省は「具体の事案について個別事案ごとに具体の事実に即して判断すべき」と述べるにとどまった。

つまり、金品を差し出した人間が「○○議員の秘書」と名乗ったり、その旨を記した名刺を渡せば、第199条の3に該当して違法になるが、明確に氏名を示さず、受け取った側が「○○議員の秘書」と推測するにとどまった場合はその態様によるとしたのだ。

しかし、これでは違法であるかどうかの境界があいまいとなり、法的安定性を著しく欠く。あうんの呼吸でいっさい名乗らないまま高額な金品を贈る、といったことも可能になってしまうおそれがあるだけでなく、権力者側のさじ加減によって厳しくすることも緩くすることもできるのではないか、という疑念が生じる。

政党支部からの寄付行為は違法ではない

同じようにわかりにくいのは、後援会からの寄付行為は禁止だが、政党支部からの寄付行為は違法ではないとされている点だ。

受け取る側(有権者)にとってはその金品が後援会からなのか政党支部からなのか区別はつけがたい場合もあるうえ、議員の事務所と政党支部の運営上の区別もつけにくい。実際に国会議員は政党支部の支部長を務め、政党支部はその事務所と同一であることが多く、政党支部の職員も秘書が兼務することが多々あるからだ。

こうした事実については希望の党の玉木代表も認めており、「うちでは厳密に区別するように心掛けている。政党支部として弔問したスタッフは年齢が若くて経歴も長くなく、有権者に混同されることは少ないと思う」と述べている。

ただしこれを悪用すれば、政治資金管理団体からいったん支出したものを総支部からの支出に付け替えることによって、違法なものを合法化することが可能になってしまう。

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