「年金は70歳から」と決めると計算が楽になる 「老後に必要なおカネ」を簡単に考える方法

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老齢厚生年金の額は年収に影響されます。現役時代の年収が高ければ老齢厚生年金額が多くなり、反対に現役時代の年収が低ければ老齢厚生年金額は少なくなります。老齢厚生年金は、「年収×0.55%×厚生年金加入年数」でおおよそ試算することができます。

70歳から老齢厚生年金をもらえば、早く回収できる

冒頭のモデルケースでは、専業主婦は老齢基礎年金のみ受給となっていますが、もしこの主婦が年収300万円で30年厚生年金に加入して働ければ、ご自身の老齢厚生年金を49万5000円確保することができます(300万円×0.55%×30)。毎月4万1250円、年金額を増額できる計算です。

「もらう額」はいいとして、「納める額」(保険料)のほうも考えてみましょう。厚生年金保険料は、2017(平成29)年度で固定され、現在9.15%です。すなわち年収300万円の人が負担すべき保険料は27万4500円です。これを30年支払うと823万5000円。年金49万5000円で割り算すると、16.6年が「損益分岐点」です。専業主婦でいる場合、年金保険料は免除ですから、厚生年金に加入してまで働くことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、自分自身の年金を確保することは生活設計上検討には値するでしょう。

この、自分自身で厚生年金に加入して増やした老齢厚生年金の月4万1250円を65歳でもらうのではなく、70歳まで繰り下げると5万8575円に増額できます。年間だと約70万円ですね。これだと、損益分岐点は11.7年となり、11.7年で払った保険料が回収できます。

これを夫婦で考えてみます。妻の働きで夫婦の年金額が月23万円から4万円強増えて約27万円になると、70歳まで据え置いた場合、42%増えるので月38万円になります。「老後にゆとりある暮らしをしようとすると38万円が必要」という調査がありますが、夫婦が厚生年金を持つことは、このように、ゆとりの生活を確保することにつながります。

妻の就労や年金を繰り下げることを例として見てきましたが、何と言っても「夫婦2人で老後の生活を見据えた働き方を考える」ことが大切です。

さて、最後になりますが、繰り下げをすることがマイナスになるケースもありますので、気をつけなければいけません。それはどんなときでしょうか。

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