カーナビ縮小で大苦戦する、JVCとパイオニア 進化するスマホで破壊される、日本の得意分野

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縮小

それから、本業以外の収益や損失を加味した「経常利益又は経常損失」も、16億円の黒字から15億円の赤字となり、最終的な利益である「四半期純利益又は四半期純損失」も、8億円の黒字から19億円の赤字に転落しました。

カーナビ製品自体は、確実に性能が上がってきているのですが、スマートフォンの普及が進むにつれて競争が激化し、収益が悪化してきているのです。また、カーナビなどのカー用品はもともと利益に占める割合が高い商品ですから、余計に悪影響が出てしまうのです。

では、会社の安全性という面ではどうでしょうか。貸借対照表(7ページ)を見てみましょう。会社の中長期的な安全性を示す「自己資本比率(純資産÷資産)」を計算すると、28.6%。この数字は、いつも説明していますように、固定資産の多い会社では20%以上あれば安全だと考えられていますから、JVCは今のところ問題はないと言えます。

気になる、有利子負債の多さ

短期的な安全性を示す「流動比率(流動資産÷流動負債)」も調べてみましょう。JVCの流動資産は1643億円、流動負債は1394億円ですから、流動比率は118%となります。この指標は、一般的には120%程度あれば資金繰りには困らないと考えられていますから、JVCは問題ないと言えますね。

ただ、気掛かりなのは有利子負債の額です。「負債の部」から社債や借入金などの有利子負債を合計しますと、870億円となります。これと併せて、損益計算書から「支払利息」を調べますと、第1四半期だけで6億円計上されています。

先ほども収益性を見てきましたように、JVCはそれほど利益の水準が高くない会社ですから、もし、これから金利が上昇するようなことがあれば、将来、収益性にさらに懸念が出てくる可能性があります。今のところは、「現金及び預金」を586億円持っていますし、自己資本比率も十分高い水準ですから安全性にはまったく問題はありませんが、収益性や金利の動向に注意することが大切です。

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