48歳で課長になれなかった男の「以後の人生」

まさかの英会話スクール通い、そして……

それから数年が経ったある日。僕も転職して仕事が忙しく、なかなか連絡が取れていなかったのだけれど、椎名さんの「海外駐在」が決まったと人づてに聞いた。場所はカリフォルニア、待遇は「事業部長」とのこと。これを聞いて僕は震えた。

椎名さんは、いつも「課長になりたい」と言っていたと書いたけれど、あともう一つ「駐在したい」ともよく言っていた。新人だった僕は、正直なところ、いい歳してなんでそんなこと言うんだろうと思っていた。

望んだものを「彼のやり方」でつかみとった

でも、椎名さんは、決してあきらめずに、誠実に仕事をしつづけて、英語も真剣に学んで身につけ、そして50歳を目前にしたところで長く勤めた大企業を辞めるというリスクも取った。その結果として、彼は自分が人生で心の底から欲しいと望んだものを「彼のやり方」でつかみとったのだ。

一昨年、椎名さんとFacebookで繋がった。私からメッセージを送るとすぐ返事があった。

「とくさん、メッセージありがとうございます。そうなんです。今度の3月でカリフォルニア在住丸6年になります。今や日本より暮らしやすいと感じます」

僕がシリコンバレーが本社の会社に転職して本社がサンノゼにあると伝えると、こんな返信がまたすぐ返ってきた。

「それはそれは! すばらしい! シリコンバレーは私たちの生活圏内です。その節は是非私のメールに連絡ください。とくさんのことだから、そのうち本社に転勤になって、アメリカの永住権も取ったらいいよ。よい年になりそうですね!」

真面目で、人のことをいつも気づかっていて、笑顔を絶やさない椎名さんには、カリフォルニアの美しく輝く太陽はよく似合う。彼のことを思い出すたびに、僕の人生はまだまだこれから楽しくできるよなと改めて思う。

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