なぜ現役自衛官は「国会で答弁」できないのか

石破茂×丹羽宇一郎対談<後編>

石破:抑止力になるというよりも、現実的な脅威として認識し対処しなければならないということではないでしょうか。電磁波のみの攻撃が実現可能かどうかはまだわかりませんが、少なくとも核爆発に伴ってあらゆる電子機器がマヒしてしまう、という事態に備えることを考えなければなりません。たとえば、光ファイバー通信は、電磁波の影響をほぼ受けないと言われており、こういう対策は急いでやりたいと思っています。

そして、ミサイルというのは上昇している段階のブースト・フェーズがいちばん弱いですから、そこをたたく技術を開発すべきだと思います。まだ速度も遅く、姿勢制御もできず、妨害装置も有効化できないうちに迎撃できればいちばん効率がいいですから。アメリカはジャンボジェット機のいちばん先端部分にレーザービームを発射する装置をつけて、上昇段階のミサイルをレーザービームで落とすという研究を今でもやっています。

長射程のミサイルでも、北朝鮮の領土、領空の外にある無人機から発射し、ゆっくり上がるミサイルを迎撃することも技術的には可能と言われています。ブーストフェーズ・インターセプトと言いますが、この技術を日本とアメリカの共同で研究するべきじゃないかと。

上昇段階の迎撃ができると、それは打ち上げた相手国の領土に落下することになりますから、「ミサイルを撃てば、あんたの国の上空で爆発するよ」となり、これは大きな抑止力となりうると思っております。

丹羽:サイバー攻撃に対する備えはどうなんですか?

石破:サイバー攻撃については、警察関連も防衛省関連も個別の対策は進めています。考え方として、最初からすべてのサイバー攻撃を防ぐということには限界があるので、いかにして最小限のダメージで止めるかということが重要だと思っています。サイバー攻撃は相手の特定も難しく、また手段も時々刻々と巧妙になりますから、ファイアウォールのレベルを上げると同時に、入ってきたときの被害を最小限に止める技術とは何だというのも大切です。

圧力一辺倒の同盟から話し合いの同盟へ

丹羽:北朝鮮に対しても、われわれは力と力でやらなければいけないということで、特に日本は世界でも珍しくドナルド・トランプさんに追随するような形でやっていますが、国民の大部分は本当にアメリカ追随だけでいいのかと疑問を感じ、また欧米諸国のトップは今の日本のやり方について、うーんと思っているんじゃないですか。

石破:欧米はそれでもNATOというものを持っていて、ああいう集団安全保障のシステムがあるわけですが、日本はアメリカしかないわけですね。集団的自衛権も、安倍晋三内閣で限定的に認めたということになりましたが、私は日米関係は本質的に何も変わっていないと思っているんですね。

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