なぜ現役自衛官は「国会で答弁」できないのか 石破茂×丹羽宇一郎対談<後編>
石破:日本が頼るのはアメリカしかない、私はこれを変えたいんですけど、現状では厳然たる事実であってね。そうすると、安倍さんとトランプさんが、トランプタワーで食事をしたり、ゴルフをしたり、やっぱり仲良しというのは大事なことで、それを何のために生かすかということを考えたときに、前回、丹羽さんがご指摘になった、核の傘って大丈夫なのか?という確認をするためにも生かしてほしいと思うんです。
総理はおそらく、日米同盟の強固さを示されようということで、「日米は100%ともにある」とおっしゃったんですね。
丹羽:そんなことはありえないですね。
石破:総理のお気持ちとして、ということなんでしょう。実際には日本とアメリカの国益が100%一致することはない。むしろ一致しないけれども、国益は違うんだけれども、あいつとなら話したいよね、話していて本当に有意義だよねという関係はつくるべきだと思っております。そして、韓国や中国とも同様の関係をつくるべきと思います。
丹羽:信頼関係ですね。
石破:圧力ももちろん必要ですが、それだけでは行き着く先は戦争になってしまう。それを回避するために、前回から申し上げている核の傘、ミサイル防衛、国民避難と同時に、多国間での信頼関係の構築という、いろいろな手段を使っていく必要があると思います。
国会で自衛官が答弁しない理由
石破:この国は不思議な国で、国会で制服自衛官が答弁したことが一度もないんです。アメリカではよく軍人が証言をいたしますね。
丹羽:日本もしたらいいじゃないですかね。
石破:これが不文律みたいなもので、絶対やらない。
丹羽:変えたらいいじゃないですか。
石破:そうなんです。私はそう思って、相当な幹部自衛官の皆さんに「本来は皆さんが国会で答弁するべきなんじゃないですか?」と聞いたんです。そうしたら「そうなったら、私はその日のうちに自衛官を辞めます」と言われたことがあります。私はそのとき結構愕然としました。
丹羽:それっておかしいよね。質問は事前に出てくるんだから、本当のこと、答えられる範囲のときだけ、自衛官が出てくればいいじゃないですか。
石破:野党がどれだけ意地悪な質問をするかを彼らは肌身にしみて知っていますから、言を左右にするというのが最も不得手な自分たちにはできないということなんですね。
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