伸びない新人は「マネから学ぶ」ができない 「防衛大流」は100%徹底することで伸びる

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防衛大では、「マネ」によって最低限やっていける人間をつくります。使い物にならないままでは絶対に終わらせないというスタンスがあるのです。その経験から私は、新人には最初は徹底的にマネをさせ、その後、自分のオリジナリティをどんどん取り入れさせたほうが、成長スピードは速いと確信しています。

100%やれることを、100%やらせているか

防衛大時代、先輩から最も指導(今はないようですが、鉄拳制裁ふくむ)を受けたのは、「100%できることを100%やらなかったとき」でした。たとえば、防衛大の掟「ウソをつくな、言い訳するな、仲間を売るな」つまり「絶対に保身に走るな」というこのルールを破ったときは、こっぴどく指導されました。理不尽と思うときもありましたが、よくよく考えてみるとこれらは誰でも実行できるルールです。

ルールとは100%守らなければならないもの、そして100%守れるものだけが本来、ルールとして設定されるべきです。防衛大では、毎日の容儀点検前のプレスなど守るべきルールが多々ありますが、それらは「誰でも時間さえあれば100%できる」ことでした。極端な話、小学生でもできます。つまり防衛大では、「100%やれることを100%やれ」という教育が徹底的に行われるのです。

この考え方は一般企業でも役立ちました。私は入社2年目からトップセールスになりましたが、ほかの営業担当と比べたときに決定的な違いが「100%やれることを確実に行っていた」ということです。

ある日、上司から「毎月10件のお客さまとのアポイントを取れ」と指示されたとします。ここで大切なことがあります。それは「10件のアポイントを取るためには何をいつまでにどれくらいすればよいのか」ということをしっかりと定量化すること、そして、定量化したことは100%確実にやり切るということです。たとえば、5営業日で200件の営業電話をかけると自分で決めたとします。200件の電話をするということは、まぁ時間をかければ誰でも100%できるプロセスです。

私はこの「プロセス」にとことんまでこだわりました。10件のアポイントが取れようが取れまいが200件は確実に電話する。ほかの営業担当も多くが200件と決めていましたが、100件の電話で10件アポイントが取れてしまえば電話を途中でやめたり、100件やって1件も取れなければ、途中でほかの方法でアポイントを取ろうとしたりと、当初決めた「200件の電話をする」をやりきることが少なかったのです。

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そもそも200件電話したところで10件のアポイントが取れるかどうかはわかりません。特に入社1年目はなかなか成果が出ません。たまたま、良い結果が出たときもあります。

ただ、良い結果が出ようが出まいが「結果に至るまでのロジックをしっかりと検証し続け、次に活かす」ということを大事にしました。100%やれるプロセスを100%行わずに、結果に至るまでのロジックを検証することはできないし、検証できないのであれば、当然次に活かすことはできません。

そもそも、たまたま出た良い結果に再現性はありません。2年目になると成果を出すまでのノウハウもたまってきます。何をやれば良い結果が出るのかがほのかにわかってきます。売り上げが上がるようになり、私はそのおかげでトップセールスを取ることができました。

“100%やれることをやらなかったら、ただじゃすまないぞ”防衛大時代のこの教えこそ、新人が結果を出すためにまず取り組む、そして上司が徹底的に守らせるべき、最初のルールなのです。

濱潟 好古 組織マネジメント・人材育成コンサルタント

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はまがた よしふる / Yoshifuru Hamagata

1982年福岡県生まれ。防衛大学校卒。IT系ベンチャー企業に営業職として入社。入社2年目から5年目まで売上№1営業マン。6年目に営業部長就任。防大時代に学んだ経験を元に独自に構築した「防大式マネジメント」を導入したところ、2年間で会社全体の売上を160%アップ、中堅、新人と関係なく、すべての営業マンに目標予算を達成させる。2016年、株式会社ネクストミッションを設立。「今いる社員を一流に」をモットーに中小零細企業の社長、大手生命保険会社のリーダー等に「防大式組織マネジメント」研修を開催している。

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