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急増のICOは「買い」なのか、検証すべき点は? 撃沈のビットコイン相場もなんのその

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  • 大槻 奈那 ピクテ・ジャパン シニア・フェロー、名古屋商科大学大学院 教授
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では、投資家にとってはICOで発行されるコインは「買い」なのか。コインの価値を評価する上で最も重要なポイントは、ICOの目的である。なんのために資金調達をするのかが明確で、かつ資金使途が説得力のある具体的なものでない限り投資すべきではない。

ICOの目的が納得できる場合、次に問題になるのは、コインの「本源的な価値」に比べて発行価格が安いかどうか、である。新株発行の投資方法と同じだ。では、コインの「本源的な価値」とはなにか。

それは、一義的にはコインの利用価値だろう。たとえば、将来提供されるサービスの対価として使えるコインなら、そのサービスの価値が即ちコインの本源的価値である。

また、システム開発などの設備投資のために発行されるのであれば、新設備の生む収益がコインの価値の源泉になる。たとえば、年10億円の価値を生むネットワーク構築のためのICOであれば、発行されるコインの価値の総額は、市場要求利回り10%という前提では、100億円規模になる。

ただし、前提条件次第でこうした算定価値は大いにブレるので、コインの精緻な価値を計測するのは容易ではない。

機関投資家も募るテレグラムのICOが試金石に

このように、ICOは発行企業にとってプラス効果が大きい。ゆえに、ICO関連の投資戦略の王道は、発行体の株式に投資をすることだろう。

一方、コインの価値については、依然不透明感が大きい。ICOを一時的なブームで終わらせないためには、企業がしっかりと投資の目的を投資家に明示し、投資家も本源的価値に基づいた投資ができるようになることが必要だ。

ICOはこのような道筋をたどれるのだろうか。試金石は、来月のテレグラムのICOだ。同社は、機関投資家も募るとしている。もし機関投資家が、今回、しっかりと本源的価値を分析した上でICOに参加するならば、今後、まっとうな分析を行う投資家が増えるかもしれない。そのようなことが現実になれば、ICOは、株式、債券に次ぐ、第3の資金調達手段として確立される可能性を十分に秘めていると考えられる。

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