「上司のダメ出し」に全部対応するのは損だ デキる人は優先順位をこう判断している

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実は、「レビューの指摘はつねに全部反映すべき」と考えること自体が誤りなのです。限られた時間ですばやく資料を完成させるコンサルタントは、レビューの指摘内容を仕分け、優先度を判断しています。これにより、資料の目的や仕事の進め方に応じた、効率的な「レビュー指摘対応」をしているのです。今回は、その具体的な方法を紹介します。

指摘対象を「文脈」「内容」「表現」に仕分ける

ポイントは、指摘対象を「文脈」「内容」「表現」に仕分けることです。

文脈への指摘:資料の目的や読み手のニーズをとらえていない
内容への指摘:資料に書かれたことが正しくない
表現への指摘:構成やデザインが適切ではない

たとえば、「スマホの使い方を知りたい人に向けて、操作手順を説明する資料を作って」と指示を受けて作った資料に対し、レビューで「全然ダメ」と指摘を受けたとします。これを「文脈・内容・表現」に分解してみましょう。

「文脈を外している」からダメ:なぜかスマホの性能のよさを説明する資料になっており、「スマホの使い方を知りたい」という読者ニーズを外している
「内容に誤りがある」からダメ:資料に書かれた手順が明らかに誤っており、資料を読んでも目的が達成できない
「表現が適切でない」からダメ:手順説明の文言がまわりくどく、パッと見るだけでは理解できない・伝わらない

こうしてみると、指摘対象によって修正の優先度が異なることがわかるでしょう。「文脈を外している」場合、言葉どおりの「ダメ資料」であるため、文脈に対する指摘は必ず修正しなければなりません。「内容に誤りがある」場合も、資料の品質に直結する指摘なので修正すべきものですが、資料が読まれるとき口頭で補足できるシチュエーションでは「文脈」より劣後できるでしょう。

一方、「表現が適切でない」場合は、ただ伝わりにくいだけで資料としての目的は果たしているため、修正の優先度は「文脈」「内容」よりも低くなります。場合によっては修正を見送ることもできるでしょう。

実は、記事冒頭で紹介した、私が若手時代に受けた辛辣なレビューも、文脈・内容・表現に分類ができます。

文脈への指摘:「なにをしたい資料かわからない」
内容への指摘:「言いたいことと全然違う」
表現への指摘:「デザインが最悪」「構成がめちゃくちゃ」「1秒でダメ資料だとわかる」

こうすると、レビュー指摘の内容を具体的に聞かなければならないのは「なにをしたい資料かわからない」「言いたいことと全然違う」のみで、残りの3つは必要以上に重く受け止めなくてもよいことがわかるでしょう(ただし、資料を読む相手がひと目で「これは読みたくない」と思ってしまうレベルの見た目ではないことが条件です)。

このように、一見「言ったことは全部反映しろ」と聞こえるレビュー指摘でも、文脈・内容・表現の観点から優先度を見極めてみると、必ず対応すべき範囲とそうでない範囲が見えてきます。これを意識することで、たとえば「細かな表現修正を優先してしまったため、1時間たっても内容の直しに着手できていない」といった非効率を避けることができます。

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