「上司のダメ出し」に全部対応するのは損だ

デキる人は優先順位をこう判断している

ただし、優先度が低い指摘だからとスルーを決め込んではいけません。状況によっては、表現の誤り1つが大問題になりかねないからです。

たとえば、医療従事者向けのマニュアルに誤解を与えかねない表現が使われていた場合、文字どおり致命傷につながるおそれがあります。国家機関が発表する資料のように、多くの人や企業が参照するものの場合、複数の解釈ができる表現は大きな混乱につながります。また、重要な意思決定を行う役員会議資料では、文言のよしあしが大勢を決する場合があります。資料の使われ方によっては、言い回しレベルの細かなレビュー指摘にまで対応する必要があるのです。

加えて、資料のレビュアーのタイプによっては表現レベルの対応が必須になることもあります。たとえば、レビュアーが「私の指摘どおりになっていないと気がすまない」タイプの人だと、文脈・内容・表現問わず、すべての指摘をくまなく反映し終えるまでレビューが完了しません。また、内容よりも見た目のインパクトを重視する人がレビュアーの場合、文言・色合い・レイアウトなど、表現レベルでの微調整にすべて対応しなければならないでしょう。レビュアーのタイプに応じた仕事の進め方を誤ると、そもそもレビューが通らない、つまり仕事がそもそも進まないことになってしまいます。

レビュー対応の効率化による仕事のスピードアップももちろん大事です。しかし、スピードに気を取られるあまり、資料のアウトカム(誰にどう使われ、どのような影響を起こすか)を軽視してしまうのは品質の点で問題になります。

また自分の仕事効率を優先するあまり他人を軽視した仕事の進め方をすると、かえってスピード感が失われます。つまり、「優先度の低いレビュー指摘は劣後する」というコツ自体も、どのような状況でどこまで使うべきか、見極めるべきものといえます。

「神は細部に宿る」と「Quick and Dirty」を切り換える

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このように、レビュー指摘に優先度をつけ、優先度が高く資料の価値を大きく左右しやすい部分に重点的にリソースを投入することで、レビュー指摘対応の生産性を高めていくことができます。

とはいえ、「負のスパイラル」に陥らない範囲であれば、レビュー指摘をすべて反映し、細部まで完璧な資料を作ろうとする積極性はすばらしいものです。加えて、レビュー対応を通じて上司の「技」を盗むことは、若手にとって非常に良い学びの機会になります。レビュー指摘の効率化を求めるあまり、自分の成長機会を削ってしまうのは、長い目で見るとマイナスになるでしょう。

だからこそ、表現に至るまで細かくこだわる「神は細部に宿る」モードと、スピード重視で仕事を終わらせる「Quick and Dirty(粗くともスピード重視)」モードを、状況に応じて切り換えるべきでしょう。Facebook共同創始者のマーク・ザッカーバーグは「Done is better than perfect(完了は完璧に勝る)」と言いましたが、自分の成長を考慮すると、時にはあえて茨の道を行くこともまた、重要なのです。

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