日本関与の「石炭火力発電」に反対運動が激化

インドネシアで住民提訴、許認可無効判決も

しかし、電力会社CEPR社は、空間利用計画の改定がないまま西ジャワ州から新たな許認可を取得して事業を続行。JBICは「(新たな環境許認可により)空間計画との間にあった齟齬(そご)が解消された」(JBICの安居院徹報道課長)などと判断して、2017年11月14日、ドイツ・ボンでのCOP23(国連気候変動枠組条約第23回締約国会議)のさなかに初回の融資に踏み切った。

これに対して、反対住民側は12月4日、新たな環境許認可の取り消しを求めて再度提訴し、行政裁判所での争いが続いている。

チレボン石炭火力発電所拡張計画に反対して記者会見する住民と支援者(東京都内:記者撮影)

そうしたさなかの12月5日、チレボン石炭火力をめぐる訴訟にかかわっている弁護士や地元住民らが来日し、記者会見をした。その1人である地元住民で現地NGOメンバーのリキ・ソニア氏は「1号機が5年前に稼働して以降、魚が取れなくなり、発電所周辺での塩作りでも降下煤塵(ばいじん)による被害が深刻になっている。ぜんそくなどの健康被害、売春や犯罪の増加など社会問題も起きている」と発言。「今後、2号機が建設された場合、影響はさらに深刻になる」と、建設の中止を訴えた。

弁護団の一員であるシャウリ・ダルムンテ弁護士は「当初の許認可の違法性が裁判所で確定したにもかかわらず、空間計画の修正を経ないまま、環境許認可を新たに取得して建設を強行しようとしているのはおかしい」と批判した。

時をほぼ同じくして12月6日、インドラマユ拡張計画についても、同じくバンドン行政裁判所が、事業の前提となっている環境許認可を取り消す判決を下した。こちらについては、「本来、西ジャワ州政府によるべきところを、権限のないインドラマユ県知事が出した」ことや、「影響について原告や住民への公表や告知がなかった」ことなどを理由に許認可を無効とした。インドラマユ県や事業主体のPLNは判決を不服だとして控訴した。

反対住民を逮捕、人権問題も

「インドラマユでの反対運動には激しい弾圧が加えられている」と支援者の1人で国際環境NGOのFoEJapanに所属する波多江秀江氏は指摘する。2017年12月17日の深夜1時ごろ、インドネシア国旗を上下逆さに掲げたことが「国旗侮辱罪」に相当するなどとして、反対派の農民3人が地元の警察に逮捕された(当日23時に保釈)。

こうした経緯について波多江氏は「国旗侮辱罪は言いがかりにすぎない。公権力による強硬な行為は、住民に恐怖感を残し、反対運動への参加を躊躇させることにつながりうる。人権擁護の観点からも憂慮すべきことだ」と指摘している。

チレボン拡張計画を巡っても、反対派住民の自宅に「プレマン」(ちんぴら)と称される不逞のやからが押しかけ、反対運動をやめるように圧力をかけているという。

インドネシアでは、石炭火力発電所のみならず、最重要な国家プロジェクトである高速鉄道建設計画でも、立ち退きを強いられている住民による反対運動に見舞われている。

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