芸能事務所アミューズ、スポーツ参入の勝算

陸上の桐生選手、マネジメント契約の舞台裏

私自身がプロのアイスホッケー選手として海外で10年近く過ごす中で、アスリートを中心に競技全体の価値を上げ、企業の価値を上げることによって、結果としておカネも動くという経験をしてきた。このようなマネジメント、スポーツマーケティングの経験を還元していきたいと考えている。

たとえば、海外でプレーした際に最初に教えられたのは、プロスポーツのビジネスがどのように成り立っているのかということ。「なぜスポンサーがつくのか。なぜファンは見に来てくれるのか。なぜテレビで放映されるのか。ビジネスの仕組みを理解したうえで、自分がプロとしてどのようなプレーをし、どういう選手を目指すべきかを考えなさい」と。

スポンサーも「ただおカネを出してくれる存在」ととらえられがちだが、そうではない。スポンサーが何を期待してそのスポーツや選手におカネを出してくれているかを理解して、それにきちんと対価を返さなくてはいけない。基本的なことのように聞こえるかもしれないが、このようなことは当時日本では教わったことがなかった。

アミューズがマネジメント契約をしている選手は皆、「自分がどうなりたい」というより「自分を通じて競技全体をよくしたい」というブレない思いを持っている。マネジメントしている選手を通じて「競技ごとのGDP(国内総生産)」を増やし、選手が引退した後も収入を得ることができる環境をつくる。そして、彼らがやってきたこと、今やっていることを発信する仕組みを確立することも大事だと考えている。

ネイマールとメルカリとの契約を仲介したワケ

――ネイマール選手とメルカリとのグローバルブランドアンバサダー契約仲介の狙いは?

坂田淳二(さかた じゅんじ)/アイスホッケー元日本代表で、26歳でアジア人初の欧州プロアイスホッケー選手となり、強豪のチェコリーグをはじめ海外各地でプレー。現役引退後、広告エージェンシー「風とバラッド」などを経て2017年6月から現職(撮影:尾形文繁)

「スポーツを通じて企業の価値を上げる」という取り組みの一環だ。

メルカリという日本のサービスを世界に広げていくためには、各国ごとにマーケティングしていくより、世界的に知名度の高いネイマール選手を起用したほうが効果的なブランディングになり、費用対効果も高くなる。

欧州での生活で培った海外選手や現地エージェント会社とのネットワークがあるので、このようなスポーツを通じた日本企業の海外でのブランディング、プロモーションを、第2弾、第3弾と拡大していきたいと考えている。

日本ではマイナーでも、世界では人気があるスポーツにも注目している。わかりやすい例では、クリケットは世界では1億人もの選手人口があり、大きな可能性を持つマーケットだ。インドなどへの進出を目指すとき、現地で人気が高いクリケットを通じて日本企業の価値を上げるということも考えられる。

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