ゴルフ界で激変した「契約プロ選手」の意義 ナイキやブリヂストンは何を狙っているのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
現在、世界のトップに立つジェイソン・デイはアパレルの着用に関してナイキと契約した(写真:AP/アフロ)

男子プロの世界ランキング1位、ジェイソン・デイの外見が大きく変わった。今年1月の初戦、米国・ハワイで開催された「SBSトーナメント・オブ・チャンピオンズ」からだ。いったい何が変化していたのかというと、キャップ正面のロゴがアディダス傘下の「テーラーメイド」から「ナイキ」になっていたのだ。

ゴルフ分野で「選択と集中」に踏み込んだナイキ

世界のスポーツ企業で売上高トップの王者ナイキ。2016年5月期の連結売上高は323.76億ドル(3兆6584億円)で、2020年までに売上高500億ドル(5兆6500億円)に引き上げる計画を掲げている。ただ、ゴルフ事業がどのような状況かというと、長く苦戦していたといっていい。

2016年5月期の「ゴルフ」の売上高は前期比8%減の7億600万ドル(798億円)と3年連続の減少。最大の「ランニング」(売上高50.17億ドル=5675億円)、2位で2ケタ成長しているバスケットボールシューズやウエアなどの「ジョーダンブランド」(売上高27.53億ドル=3111億円)と比較すると、明らかに苦しい数字だ。

ナイキはついに昨年8月、ゴルフのクラブやボール、バッグの「ギア」と総称される分野からの撤退を表明。ただし全面撤退ではなく、ナイキにとって「本丸」の事業であるシューズやアパレルは継続するので、得意分野への「選択と集中」を行ったことになる。

しかし、それでもゴルフ市場から一部撤退したことには変わりない。あのナイキが一歩後退したというマイナスイメージは少なからずあった。だからこその世界ナンバーワンのゴルファーであるジェイソン・デイとの契約である。つまり、今後も主力のシューズとアパレルで世界トップを目指し、攻め続けるというメッセージを発したのだ。デイとの契約は複数年で、契約金は年間およそ1000万ドル(11億円)だといわれている。

デイは今までアパレルとギアの双方で、テーラーメイドの契約選手を代表する「顔」だった。テーラーメイドのギアの顔としての立場はどうなるのかというと、昨年9月にテーラーメイドとギアの使用契約を更新していて、クラブ、ボールは引き続きテーラーメイドを使用する。つまり、デイはライバル同士であるナイキとテーラーメイドの2社のブランド戦略を同時に背負うことになる。

次ページプロ選手との契約の意味はどう変わったか
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事