「僕は、2015年オフにドミニカ共和国のウィンターリーグに参加しました。ドミニカ共和国は、日本の人口の12分の1ですが、メジャーリーガーは140人くらい出ている。日本は昨年10人にも満たなかった。これはどういうことなんでしょうか? どんな分野によらず世界で通用する人材が必要とされている世の中で、日本の野球界がこれだけ遅れているのは事実です。
ドミニカ共和国では指導者は何も言わずに子供たちを見守っています。そんな中で、小学生の子供たちがジャンピングスローやグラブトスを当たり前のようにやっています。指導者はそうしたプレーでミスをしても何も言いません。だから子供たちは失敗を恐れず、何回も失敗しながら新しいことにチャレンジしていきます。僕は、子供たちが何の躊躇もなくチャレンジしている姿を始めて見ました。
バッティングもとにかくフルスイングです。ドミニカには16歳から入ることができるMLBアカデミーを30球団が設置しています。これも見学しましたが、ここでも変化球を投げる子はいませんでした。ほとんどがストレートをど真ん中に投げ込む。バッターはそれをフルスイングする。というのが基本です。
こういうドミニカ共和国の小学生と、日本の小学生が今の時点で対戦すれば、日本のほうが大きく勝ち越すと思います。日本では小学生から変化球を投げますし、細かいプレーも身につけますから。でも、それが大人になったときには、すっかり逆転して、凄い差になっています。
もちろん日本がすべて悪いのではありません。日本にもいいところはたくさんあります。でも遅れている部分があるのも事実です。内向きになるのではなく、海外に目を向けてそこからいろいろ吸収するのも大事ではないでしょうか」
飛びすぎる金属バットの弊害
「それから、いま日本で使われている金属バットの弊害は大きいと思います。日本の金属バットは本当によく飛びます。年々、素材のいいバットが出てきて、飛距離は伸びています。
でも、ドミニカ共和国では16歳以前から木のバットを使っています。アメリカは大学まで金属バットを使っていますが、反発係数に制限があります。日本のバットに比べたら全然飛びません。僕も打たせてもらいましたが、木製バットに近いくらい飛ばなかった。しっかりボールを引き付けて強いスイングをしないと飛びません。
日本では昨年、夏の甲子園の1大会のホームラン記録が更新されました。もちろん優秀な打者が記録を破ったのでしょうが、圧倒的にバットのおかげで飛んでいる姿も目にします。
これは子供たちのためになっていないと思います。(プロへ進んで)木製バットで苦労するのは子供たちです。事実、苦労している選手を何人も見ていますし、僕も木製バットになれるまでに時間がかかりました」
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