2つ目は、今の子供たちは、大人、指導者の顔色を見てプレーをしている、怒られないようにプレーをしているということ。
本来なら、いいプレーをしよう、もっと遠くまでボールを飛ばそうと思って野球をしないといけないのに、ここで打たなかったら怒られる、エラーしたら怒られると思いながら野球をやっているように思います。
3つ目は答えを指導者や親が与えすぎるので、子供たちが指示待ちの行動しかできないということ。自分から動いて、何か行動を起こすということが凄く減ってきているのではないかと思います。
もちろん指導者が勝ちたくなる気持ち、いろいろ教えたくなる気持ちはわかりますが、それが将来の子供たちのためになっているかと言えば、なっていないと思います。指導者も、親も言いたいのはわかりますが、そこをじっくり我慢し、見守ることが大事ではないでしょうか。
あとは『勝ちたい』となれば、どうしても練習が長くなります。まだ子供なのに、朝早くから夕方過ぎまで練習をしている光景をよく見かけます。これも問題です。
そして、今、多いのが、高校野球やその上に行ったときに肘や肩を壊して手術をすること。僕も、未来のある子供たちが、潰れていくのをたくさん見てきました。そういう例が本当に多いです。
勝ちたいと思えば、指導者は『変化球を多く投げろ』とかいろいろ要求をします。それが子供の負担になりますし、スケールの大きい人材、育っていないのが現状だと思います」
トーナメント戦の弊害
「体ができているプロ野球選手たちでさえリーグ戦を行っているのに、骨格もしっかりしていない子供たちが、トーナメントで『この試合に負けたら終わり』という試合をしていることも問題です。
1つ負けたら終わりのトーナメントは、勝ちたいという気持ちが強くなります。そうなると変化球も多くなるし、ミスをできないという戦いがかなり続いていくことになります。
そして、試合に出ている子供たちは何試合も続くので、体の負担が多くなります。一方で、出ていない子供たちは面白くない。せっかく野球を始めたのに、いろんな経験を積むことができないという弊害があります。堺ビッグボーイズは4年前からリーグ戦を3カ月間実施しています。トーナメントの弊害がないのはいいと思います。
MLBでは『何歳までの子は何球投げたら中何日開けないといけません』とか、子供の体を考えたいろんな規制が何年も前から始まっています。しかし日本は未だにそういう規制がないので、子供たちが苦しんでいます。少年野球のときは良くても、子供たちの将来には良くないことが多いと思います」
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