「スーパースター企業」が世界の賃金を抑圧 米国で注目の新理論を日本でも試してみる

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近年は米国のみならず日本でも労働分配率の趨勢的な低下が生じている。日本においても、オーター教授らの仮説どおり、技術革新によって大きなマーケットシェアを手に入れたスーパースター企業の興隆が労働分配率の低下に寄与しているのか、分析してみた。

オーター教授らの研究では、スーパースター企業が存在する業種は労働分配率が低いという仮説を検証するために上位4社や上位20社が占める売上高の比率と労働分配率の関係を業種ごとに比較している。

製造業では影響あるが、非製造業では関係なし

今回は簡易的に法人企業統計調査の資本金10億円以上の企業(以下、大企業)の売上高比率と労働分配率の関係を分析した。資本金10億円以上の大企業の売上高比率が上昇している場合、スーパースター企業の興隆があると仮定した分析であり、オーター教授らと考え方は同じである。

製造業と非製造業で分けて考えると、製造業では業種ごとの大企業の売上高比率と労働分配率に一定の関係が見られた。つまり、製造業においては、大企業の売上高比率が高いほど労働分配率が低くなっており、スーパースター企業の存在が労働分配率の低下を促している可能性がある。一方、非製造業では両者の関係はなさそうである。

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