43歳「4つの稼ぎ方」並行する男の快活な人生 どれかがダメになっても自分の心は腐らない

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そして4本目の柱、地元高知での仕事だ。

「地元で友達と飲んでいると『あ、あそこで飲んでるのどこどこの社長だから紹介するわ』とか言われるんですよ」

「どもども」と挨拶をすると社長もデハラさんのことは知っている。

「あの人形作ってる奴やろ。気持ち悪いなあ」

などと冗談交じりに言われる。「そうです、仕事ないですか?」と聞くと「ないし」と断られるが、それでも同席して一緒にたくさんお酒を飲んでいると、最後の方には

「ええわ、楽しいから仕事考えよう」

と、仕事になる場合が多いという。

「僕はお酒の場が好きなので、お酒飲んでて仕事が取れるのはいいなと思います。ただ相手が酔っ払って約束を忘れちゃって『そうだっけ?』と言われることも多くて『もう酔っ払い!』ってなる場合もあります(笑)」

逆にデハラさんがお酒を飲みすぎて後から後悔することも多々あるという。

「なんで一杯おごってもらっただけでこんな面倒な仕事を引き受けたんだ~!! なんてことはしょっちゅうありますよ」

高知ではさまざまな仕事を受けている

ただそれでも高知の仕事は楽だという。

「4本柱で仕事をしているとまあまあ忙しい」(写真:筆者提供)

高知の仕事はチェックする人間が社長と会社のデザイナーぐらいな場合が多い。そのためやり直しになるケースが少ないので、ストレスがたまらない。クリエイターにとって、やり直しの作業は何より心を疲労させる。

高知では、焼肉屋の名刺から、地方銀行のノベルティ製作、デハラさんがパーソナリティとして出演するレギュラーラジオ番組など、さまざまな仕事を受けている。

「4本柱で仕事をしているとまあまあ忙しいですね。どれかの売り上げが下がったとしても、全体としての影響は少ない。心がひねくれなくてすむんです(笑)。出版不況で出版の仕事が減るとか、流行に乗っていないから広告の仕事が来ないとか、それって実際僕らには関係ないことじゃないですか。そんな関係ないことで仕事が減っているのについ『自分はダメだ……』って思ってしまいがちですよね。それは嫌なんです。だから複数の柱を立てて仕事をするのが良いんですよね、自分には」

去年と今年は忙しすぎて、旅行中どこに向かおうとしているかわからなくなって飛行機に乗り遅れることが何度かあったという。

ただ、生活のリズムは昔に比べて、とても健康的になっているという。

「昔は昼まで寝てたんですが、10年前に結婚して6年前に子供が生まれて以来、朝起きるようになりましたね。子供は生き物としてとても面白い。今までペットを飼ったことすらなかったですから新鮮です」

デハラさんのお話をうかがって、氏は自分の心を腐らせない達人だな、と感じた。フリーランスは実力を高めることも大事だが、不安やプレッシャーに心を傷めないようにするのも大事だ。

デハラさんは、「今後も流れるままに仕事をやっていこうと思う」と語った。これから氏がどんな作品を作り上げていくのか、とても楽しみだ。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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