米国発「WeWork」が日本で狙うオフィス革命 成長著しいシェアオフィス大手が東京進出へ

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イベント以外でも、コーヒー休憩ができるカウンターなどで「こんな人がいるので会ってみませんか?」とコミュニティマネジャーが話しかけに来る。アプリ上で提案が来ることもある。ヒル氏は「日本人は恥ずかしがり屋だ、と言う人は多い」と指摘する一方で、「それは外見だけで、人とかかわってコラボしたいという願望はいつの時代にもあった。単にそういう環境が提供されてこなかっただけ。ウィーワークにいればそういうことをしてもいいんだと感じられる」と強調する。

各オフィスには会員同士のコラボレーションを促すコミュニティマネジャーが常駐する(写真:WeWork)

こうした仕組みは、コミュニティマネジャーの入念な育成なしには機能しない。日本では200人と面接したという。加えてヒル氏は、「創業以来6年間、われわれはコミュニティマネジャーの研修カリキュラムの開発に力を注いできた」と話す。研修を終えると、社外でも使える認定資格をもらえる。

ウィーワークの事業は自社が設けたシェアオフィスの運営にとどまらない。米国では「Powered By We(PxWe)」というオフィス改装のコンサルティングサービスも手掛ける。ヒル氏は「PxWeが東京で多くの会員を引き付けることになるだろう。すでにいくつかの大企業とも話を始めている」と話す。

オフィス改装のコンサル事業も展開

要はウィーワークが企業のオフィスをまるまるプロデュースしてしまうということだ。同社が抱えるオフィス改装の専門家を会員企業に送り込み、データを集め分析し、より効率的な仕事ができるようオフィスを設計し直す。実際の運営ではコミュニティマネジャーも置き、さまざまな部門を引き合わせて協業しやすくする。米メディアによれば、IBM、Airbnb、アマゾンといった企業向けにオフィス管理を行っているという。

コーヒー休憩ができるスペースなども充実している(写真:WeWork)

「若い世代はオフィスにこれまでなかったものを求めている。職場に”人間くささ”を欲している。われわれのコミュニティに入り込めば、社員はより幸せになり、満たされる。これが使命だ」。ヒル氏はそう強調する。

目下多くの企業で進む働き方改革は、労働時間の短縮や有給休暇の取得促進といった、「仕事をしない時間」を増やすという方向性だ。だが、誰しも起きている時間の大半は仕事をしている。ならばその時間をいかに快適に、生産的にするかが重要といえる。そのようなムーブメントをウィーワークはここ日本でも起こすことができるか。注目度は高まるばかりだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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