孫正義氏が買う「バク宙ロボット」企業の全貌 全米驚愕のロボ技術が見せつける未来とは
11月16日、動画共有サイト「ユーチューブ」に公開されたある動画が世界中で話題となった。公開後わずか1週間で1000万回以上再生されたその動画を投稿したのは、米ロボット開発企業のボストン・ダイナミクスだ。
映し出されたのは、ピョンピョンと飛び跳ねる同社のヒト型ロボット「アトラス」。高い台へと上ると、なんとそのまま「バク宙」を披露し、最後にはガッツポーズを決めてみせた。人間顔負け、いや、並の人間にはできない芸当である。
ボストン・ダイナミクスが大きく注目を集めたのは、2012年頃のこと。「ウサイン・ボルトよりちょっと速いチーターロボット」という動画をユーチューブで公開し、4足歩行ロボットとして当時世界最速となる最高時速45キロメートルを記録した。
グーグルが買収、そしてソフトバンクへ
突出したロボット技術を、大企業も放っておかなかった。2013年末、米グーグルの新技術開発部門「X」がボストン・ダイナミクスを買収した(金額は非公表)。スマートフォンOS「アンドロイド」の生みの親として知られるアンディ・ルービン氏が進めていたロボット開発プロジェクトの一環だった。
だが、「2014年にアンディがグーグルを去ってから、ロボットのプロジェクトは事実上止まっていた。ボストンとシリコンバレーという地理的な遠さもあり、コミュニケーションもうまく進まなかった」と、グーグル関係者は明かす。
そして2017年6月、今度は孫正義氏率いるソフトバンクグループの手に渡ることが発表された。「ロボットが人工知能を搭載すれば、人間と同じように街中を歩くようになる。あるいは人間を超え、空を飛んだり海に潜ったりもする」。買収発表後、孫氏はそう語り、ロボットの未来への期待を口にしていた。
なぜそれほどまでに高度な技術を開発できたのか。1992年創業のボストン・ダイナミクスを長年支えてきたのが、米国の軍事予算だった。アトラスなど大半のロボットの開発費は、米国防総省傘下のDARPA(国防高等研究開発局)からの助成金で賄われた。DARPAは最先端の軍事技術を育てるために、企業や大学などに対し研究開発支援を行う機関だ。ここ数年は年間3000億円前後の予算が組まれている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら