孫正義氏が買う「バク宙ロボット」企業の全貌

全米驚愕のロボ技術が見せつける未来とは

レイバート氏は、「このロボットを(スマホOSの)アンドロイドのようなプラットフォームにする」という構想を明かした。ユーザーは、スポット・ミニにカメラやアームといったパーツを組み付けたり、ソフトウエアの仕様を変えたりしながら、人間の指示に従ってさまざまな用途に使えるようになるという。

パーツを付け替えたり、中身のソフトウエアを変えたりすることによって、さまざまな用途に使えるようにする(記者撮影)

想定される用途として、娯楽、物流、警備、倉庫作業、災害対応、建設、そして、高齢者や身体障害者の介助を挙げた。危険が伴う場面や人手不足への対応手段となりうる。物流現場での活用がイメージしやすい。米国では、個人宅宛の配送物は玄関前に置いておけばよいので、トラックからスポット・ミニが荷物を持って出て、玄関先に置くといった光景も現実になるのかもしれない。

日本企業もすでに強い関心を寄せる

ボストン・ダイナミクスのマーク・レイバートCEOはロボット開発に対する持論を展開した(記者撮影)

日本企業も強い関心を示している。警備大手のセントラル警備保障は、常駐警備や巡回、監視と言った業務でロボット活用を検討中。「人手じゃなくてもできることはすべてロボットに任せる方向になるだろう」(鎌田伸一郎社長)。スポット・ミニやソフトバンクの「ペッパー」を活用したい考えを示す。

前のめりなのが、ゼネコン大手の竹中工務店だ。「(建設現場の)安全点検、進捗確認、品質確認にスポット・ミニを活用したい」(岡本達雄専務)。高所など人の立ち入りが危険な場所などで、人の目の代わりに写真を撮影しフィードバックすることを検討する。近日中にも実証試験を始めるという。

さらに岡本専務が披露したのが、上半身はアトラス、下半身はスポット・ミニという「ケンタウロス」のようなロボットの構想だ。「4足による安定性、4つの手による(動きの)多様性を持った、万能建設ロボットの開発を目指す」(同)。

竹中工務店が考案した「ケンタウロス」ロボットのイメージ(記者撮影)

「ロボットには短期間で実世界の経験をいろいろと積ませなければならない」というのが、レイバート氏の信条だ。ボストン・ダイナミクスの方針は「作れ(Build it)、壊せ(Break it)、直せ(Fix it)」。同社の動画では、人がロボットを蹴ったり、引っ張ったりと、”いじめる”場面が散見される。これらも性能を上げるためには不可欠な作業なのだ。

ソフトバンク傘下に入れば、財務面や営業面での後方支援が見込める。開発速度は高まり、普及への道筋もつきやすくなるだろう。これまで謎に包まれていたロボット企業への注目は一層高まりそうだ。

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