東急がグーグル渋谷凱旋を熱烈歓迎する理由 日本で培った都市開発のノウハウ輸出も加速
11月17日、米IT大手グーグルの日本法人が、2019年に本社を東京都港区の六本木ヒルズから、渋谷駅の南側に東京急行電鉄などが建設中の35階建て超高層ビル「渋谷ストリーム」に移転すると発表した。14~35階のオフィスフロア22階分を借り切り、現在の従業員(1300人)の2倍を収容できるという。
グーグルが2001年に最初に日本法人を構えた際、本社として選んだのが東急が渋谷の本社跡地を再開発して開業したばかりの「セルリアンタワー」だった。その後、グーグルは規模拡大に合わせ本社が手狭になり、2010年に六本木ヒルズに移転。日本でのビジネスを成長させて9年ぶりに凱旋する渋谷をグーグルは「クリエーターや投資家を引きつける磁石のような場所」(米本社のルース・ポラット最高財務責任者)と持ち上げた。
「グーグル入居は東急にプラス」
渋谷ストリームの家主である東急は、歓迎ムード一色だ。グーグルの会見には東急の野本弘文社長も駆け付けて歓迎のあいさつをした。実は東急も同じ日にグーグルの渋谷ストリーム入居を大々的に告知するイベントを開く予定だった。だが、運悪く、その2日前の15日に東急田園都市線で朝の通勤時間帯に4時間以上にわたって電車がストップするというトラブルが発生。その余波でイベントは中止を余儀なくされた。
オフィス入居条件は明らかにされていないが、渋谷ストリームの完成は2018年秋にもかかわらず、グーグルの入居はそのおよそ1年後とみられる。「渋谷ストリームの完成に合わせ、渋谷川沿いに600mの遊歩道もオープンする。本来なら18年秋にはオフィススペースの従業員でにぎわってほしかった」(東急関係者)。
しかし、東急にとってはオフィススペースを1年間空っぽにしてでも誘致したいテナントだったというわけだ。入居を希望する企業はほかにもあったという。野本社長は本誌の取材に「グーグルさんにお越しいただければ、私どもにもプラスの要素がある」と語り、東急のグーグル誘致への強いこだわりが透けて見える。
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