米国発「WeWork」が日本で狙うオフィス革命 成長著しいシェアオフィス大手が東京進出へ

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ウィーワークの成長を支えるカギといえるのが、世界中に散らばるオフィスとそこから集められる膨大なデータだ。世界59都市に278のオフィスを設け、17万5000人以上の会員を抱える。人の大まかな往来パターンや消耗品の消費状況、会議室の利用動向などのデータが日々吸い上げられる。

米ニューヨークに構える本社ではこうしたデータに基づき、会員がより働きやすくなるようなオフィス運営の戦略が練られている。すれ違う人のコミュニケーションを促すために廊下を狭くしたり、利用しやすく、かつゴミを回収しやすいゴミ箱の位置を見極めたりといった具合だ。

社員の行動記録をビジネスに活かす

ウィーワーク・ジャパンのクリス・ヒル代表は、データ収集と分析の重要性を強調した(撮影:今井康一)

「ウィーワークのすべての意思決定はデータに基づいたもの。(CEOの)アダム・ニューマンは直感の判断ばかりになることを許さない。一方で、データに基づいてさえいれば失敗しても構わないという文化だ」(ヒル氏)。

最も重要なデータが2000人以上いるウィーワークの社員の行動記録だ。「一般会員のいるオフィスでは個人に紐付いた行動データは取らない。ウィーワークの社員自身がどういう行動を取るか、ニーズは何かを各国の本社で把握し、新たなバージョンのオフィスを開発していく」とヒル氏は説明する。

ウィーワークの会員になると、専用アプリにアクセスできる。会議室予約(左)のほか、オフィスで開催されるイベントの確認(右)やほかの会員とのコミュニケーションも可能だ(写真:WeWork)

データと同様に重視されているのが、企業や個人の間でコラボレーションを生む仕組みだ。各オフィスには「コミュニティマネジャー」と呼ばれる、会員を手助けする人員が複数人配置される。彼らは利用する会員企業・個人の特性や事業に関するデータを分析し、それに適したイベントを企画したり、事業の方向性が合いそうな企業や個人を引き合わせたりする役割を担う。

「銀座であれば、ファッション関係の会員が多くなるだろう。たとえば中国でよい布地をどのように調達するか、といったことについて識者を招いたトークイベントを企画する。会員専用アプリで告知し、出欠を取る。イベントが開かれると、席が隣り合った参加者同士の話からコラボレーションが始まるわけだ」(ヒル氏)

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