「裁量労働制」の悪用を見極めるポイント5選 自由がゆえに際限ない長時間労働リスクも

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しかしながら、本人は裁量権を持たず、上司の指示に基づいて、プログラミングの実務を行っているような従業員に対しては、たとえゲームの開発に携わっていたとしても、専門業務型裁量労働制の適用は許されない。

実際の判例においても、裁量権を持たない「名ばかりシステムエンジニア」や、税理士業務の補助者などについて、裁判所は専門業務型裁量労働制の適用を否定している。

第3のポイントは、割増賃金が正しく支払われているかどうかである。

労務相談を受けていると、「裁量労働制を適用すれば割増賃金を支払う必要はない」と誤解をしている経営者や、人事担当者としばしば出会う。

この点、「裁量労働制であっても、労働者に各種割増賃金は支払われなければならない」ということを強調しておきたい。

たとえば「1日9時間とみなす」という労使協定に基づき裁量労働制が適用されていた場合、法定労働時間の8時間を超える1時間分については、時間外割増手当が労働者に支払われなければならない。仮に、その月の出勤日数が20日だったとしたら、1時間×20日の20時間分の時間外割増手当の支払いが認められる。

次に、深夜割増手当であるが、裁量労働制が適用される労働者であっても、午後10時から午前5時までの深夜帯に勤務をした場合は、深夜割増手当の支払いが認められる。

裁量労働制の対象者は、実労働時間の管理をしなくてもいいと誤解されがちであるが、深夜割増手当を会社から正しく支払ってもらうためには、少なくとも深夜残業に関しては実労働時間の管理が必要になるのである。

裁量労働制の対象者が休日に出勤した場合、休日出勤手当が支払われないのは違法である。休日出勤の労働時間も「みなし」を適用するか、実労働時間に基づくかは労使協定次第であるが、いずれにしても、裁量労働制の適用者が休日出勤をして、休日出勤手当がまったく支払われないのは違法であるということを覚えておいてほしい。

実態と合わない「みなし労働時間制」は指導対象に

第4のポイントは、「みなし」で定められている1日の労働時間が適正かどうかである。

裁量労働制においては、専門業務型と企画業務型で手順は異なるが、業務の実態を踏まえ、「みなし」の労働時間数を労使間で合意することが条件となっている。

この点、労働者側の意見を聞かずに、会社が勝手にみなし労働時間数を決めてしまったという場合は間違いなく違法だ。

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