2018年相場は1月の成績がすべてを決める? 戌年は東京タワーから「ヒルズ」まで盛り沢山

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縮小
●10%超の大幅高(1958年と1994年)
1年を通じてプラス圏での展開が続く

●3%程度の小幅高(1982年と2006年)
春以降にマイナス圏に沈む

●下落(1970年)
一時反発するものの、春以降に再びマイナス圏に沈む

1年の騰落率には、1月がかなり影響していると言えそうだ。かつて「1月相場は株価が上がりやすい」と言われてきた。これは新規マネーや配当金の再投資等が流入し、年初の株高傾向がみられたからだ。

2018年は、大発会が741円高で始まるなど、きわめて好調なスタートとなった。ただ、過去20年間の日本株を振り返ると、1月相場は高安まちまちだ。

過去の戌年は平均+9.8%高、上値は2万5000円も?

さてまとめよう。過去5回の戌年における日経平均株価は4勝1敗。その平均上昇率は9.8%になる。仮に2017年末値の2万2764円にその平均上昇率を当てはめると、ほぼ2万5000円となるが、ここまでの上値余地はありそうだ。

2018年の1月が仮に10%近い大幅高となれば、1年を通じて高止まりの展開も想定される。一方、1月末にかけて上げが失速すると、春以降、年初来マイナス圏へ沈む局面もあるかもしれない。

2017年は日経平均株価が大きく上昇した割には、海外勢の買い越し額は1兆円未満にとどまり、最大の買い手は日銀だった。今春には日銀の黒田東彦総裁の任期満了が控え、日銀による年6兆円の上場投資信託(ETF)買い入れ額縮小もささやかれているがどうなるか。

だが、筆者は仮に日本株が下落する場面があれば、そこは押し目買いのタイミングになるとみている。2018年も引き続き、国内勢の動向に注目したい。まず、年金マネー。調整局面では買いが期待できそうだ。次に事業法人。自己資本利益率(ROE)の改善に向けて、やはり下落すれば豊富な手元資金による自己株買いの継続が見込まれる。さらに、個人投資家。投資行動に変化がうかがえる。2017年に個人は日本株を年6兆円近くも売り越したが、一方で購入額は120兆円近くへ増加した。その伸び率は前年同期比で1割超にも及ぶ。個人投資家の世代交代の波が金融資産を徐々に動かしているようだ。2018年は海外勢の動向もさることながら、個人の売り越し額が一巡するかにも、注目したい。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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